国際演劇交流セミナー2021 韓国特集報告

『韓国を知り、日韓演劇の未来を探る』第2弾
〜オンラインで日韓の演劇の街、
  下北沢-大学路 (テハンノ) を繋ぎます!〜

 2020年度、韓国から講師3名の招聘を予定していたが、新型コロナウイルス蔓延により来日が叶わず、オンライン企画として「韓国を知り、日韓演劇の未来を探る」~オンラインで日韓の演劇の街、下北沢―大学路(テハンノ)を繋ぎます!~に変更、演劇の街、東京の下北沢とソウルの大学路からの生中継を行った。内容も充実し、オンラインで開催することにより、全国からの参加が可能になる国際部の新企画となった。
 その流れから、2021年度も同企画の第2弾として「韓国の若手演出家・劇作家と語り合おう!」というテーマで、韓国で数多くの演出賞を受賞している若手演出家のソ・ジヘ氏と、劇作家として頭角を現し近年ではストレートプレイだけでなくミュージカル作品の演出でも賞を受けるなど多様なジャンルで活躍するオ・セヒョク氏の2名を講師に迎え、2021年11月26日(金)~28日(日)の3日間にわたって開催した。


 1日目は「翻訳戯曲の演出について」。講師はソ・ジヘ氏、ゲストパネリストに松本祐子氏が登壇。はじめに、ソ・ジヘ氏より、自身が翻訳劇の戯曲を選ぶときのポイント、どのようなことを大切にしているか、そして、作品リサーチのため実際に南アフリカを訪れた体験が語られた。
 その後、松本祐子氏を交え、ソ・ジヘ氏が演出した作品の画像や映像とともに、翻訳劇を取り組む際の課題、両国での翻訳劇の捉えられ方、それぞれの海外戯曲との出会い方などが語られた。


 2日目は「韓国の現代演劇-ミュージカルなどについて」。講師はオ・セヒョク氏、ゲストパネリストにラサール石井氏が登壇。まず、協力としてクレジットされている韓国演劇協会の事務局長キム・グワン氏(演出家)より、大学路の街、劇場、そして大学路で開催された大韓民国演劇祭の開幕式の様子が、映像がとともに紹介された。
 続いてオ・セヒョク氏が、演劇からミュージカルと幅広い自身の活動を、映像とともに紹介、そしてラサール石井氏も加わり、自身でプロデュースしたミュージカルについて映像とともに紹介があり、そこから演劇とミュージカルのリアルについてなど、時間いっぱい語られた。

 3日目は「リーディング & アフタートーク」。オ・セヒョク氏の戯曲『楽屋のお掃除(仮題)』の日本語翻訳を、配信会場の下北沢・アレイホールでリーディング上演(無観客)し、ライブ配信をした。上演後、オ・セヒョク氏と演出者(筆者)、出演者4名で作品についてのディスカッションを行った。韓国の社会構造や課題などの様々な要素が散りばめられた作品について、作家と語り合うことで、韓国の現状への理解がさらに深まった。
  3日間を通じて、韓国の若手演出家・劇作家が、今、何を思い、感じて、表現しとうとしているのか、その一端に触れられた。今後どのような状況の下にあっても、途切れず交流を続けていくために、方法を模索していきたい。

報告者:柏木俊彦
(国際演劇交流セミナー2021韓国特集 実行委員)


国際演劇交流セミナー2021 韓国特集 「 韓国を知り、日韓演劇の未来を探る 」第2弾


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