演劇大学in徳島2020 報告

演劇大学in徳島 
STAY STAGE ~カタチを越えて繋がる3日間~

開催日程:2020年8月1日(土)、2日(日)、8日(土)-10日(祝)

開催形式:Zoom会議システムを使用したオンラインによるワークショップ講座

講  師:
明樹由佳、スズキ拓朗、土田英生、成井豊、はせひろいち、松本祐子、わかぎゑふ、和田喜夫

 2020年の演劇大学in徳島は全国初のオンライン開催となりました。
 年明けにはじまった一連のコロナ騒動を受け、対面型の講座のまま準備を進めるのでは開講が危ぶまれるとの判断からでした。
 とはいえ、自身も仕事でオンラインミーティングを利用することはあっても、それを使ったワークショップの経験は無かったので全てが手探りでした。幸いオンラインミーティングのツールとして採用したZoomには単純なオンラインミーティングの他にウェブセミナー用の機能があり、講座の内容に合わせせて開講形式を通常のオンラインミーティングにするか、ウェビナー形式にするかを選択することが出来ました。

 また、対面型講座では参加者が来場した際に参加費の徴収をしていたのですが、オンラインワークショップということでどうしても事前決済が必要となり、その仕組み作りが最も難しかった点です。前年からWordPressを利用した演劇大学in徳島用の公式サイトを準備していたのでここに決済機能を追加することにしました。
 オンライン上でのクレジット決済のみに出来れば運用は容易だったのですが、クレジットカードを持っていない学生や、高齢の参加者も多いため別途事前の銀行振込も決済方法として採択しました。決済については事務局との連携もうまくいき、つつがない運用が出来たと思います。

 ワークショップの雑感としては、初のオンライン開講ということで開講コマ前後に参加者が入室するための余白時間がもっと必要であるとか、オンラインならではの課題が出てきました。出てきた課題はチーム・事務局ともに共有し、以後のオンライン演劇大学に活かされていったと思います。

 講座内容について。
 2年目となる2020年の演劇大学in徳島は初年度の「まず演劇に触れてもらう」というフェーズから「表現者を育成する」という段階に移行した講座を設けました。
 特に長期の演出家育成講座では2チームに分かれ、松本祐子さん担当の大木氏育成講座、土田英生さん担当の丸山育成講座を開講しました。
 キックオフミーティング時に私からは土田さんに対して「劇団の演出家として劇団員に指導するための演出方法」をリクエストしました。複数回Zoomをつないで東京・徳島間で実際の私の演出を見ていただきながらフィードバックを得て、稽古の初期・中期・後期にどこを見てそしてどの程度の指示を与えていけばいいか等、劇団という人間関係も考慮に入れていただきながらご指導いただきました。
 地方劇団員を育成するのは経験が少ない者も多く、時間が必要となります。効率だけではなく、人間関係を築きながら指導を重ねていくノウハウを教わることが出来て今後の劇団運営に非常に有り難い経験となりました。

 もう1チームの大木さんは松本さんへ「演出に入る前のプランニング」をオファーしていました。こちらも動画で撮影した稽古の様子を松本さんにご確認いただきながら指導を受けていました。大木さん自身、地方演劇の経験は20年以上になるのですが、体系化された演出方法の指導を受けるのは初めての経験で、今まで経験則でしかなかった自身の指導に対して裏付けがついたことで自信になり、今後徳島での役者育成に一層力を入れやすくなったそうです。

 演劇大学を経て以降、この活動をきっかけに新たな企画もはじまっています。 地方で表現活動を行いながら体系化されたノウハウを得る機会は本当に少なく、この様な機会が無いと勉強するチャンスすらありません。

 今後も地方での表現活動活性化のために全国各地で演劇大学が開催されることを願います。

報告者:丸山裕介
(演劇大学in徳島 実行委員長)


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