「演出家・俳優養成セミナー2022 演劇大学in四国2022」広報部《D》報告

<開催スケジュール>

期間:2022年10月28日(金)~11月20日(日)
会場:シアターねこ(松山市)×オンライン
講師:鹿目由紀、土田英生、扇田拓也、西川信廣、平塚直隆

「演劇大学in四国2022を終えて」

今回は愛媛県が事務局を担当させて頂きましたが、全国各地からも沢山の参加者がありました。コロナウィルスのお蔭(?)でZOOMという簡易なメディアが進化し、参加しやすい環境が整いつつあります。改めて良いのかなと、ハタと気になりました。

本来、演劇は身体性を重視してきたはずです。そこをすっ飛ばすと、分かったような気になる勘違いが山積みされるのでは・・・!?

中でも「セリフ術講座」と「長期演出家育成講座」は一部を除いて対面で開催されました。そちらに参加した人たちは、実感として体験したという身体感覚を持ったようです。 演劇大学は、地方にとっては貴重な学びの場としての可能性を丁寧に探りたいものです。

報告:鈴木美恵子
(演劇大学in四国2022 実行委員会)

講座【A】「戯曲の構造分析講座」〜『父と暮せば』を読み解いてみる〜(オンライン)
開催日:10/28(金)、11/9(水)、16(水)
講師:鹿目由紀

鹿目由紀さんを講師に迎え、ZOOMにて10月28日、11月9日、16日の3日間。20時~22時の日程で行われました。
テキストは、井上ひさし著『父と暮せば』(新潮文庫)。
有料参加者は16名で俳優、観劇したことのある人、井上ひさし作品を読んだことのある人、など様々な人々が参加しました。
鹿目講師の手作りフリップを使用しての講義は分かり易く、初めての人も興味を持って受講されました。
8月に講師が演出した『父と暮せば』が上演されており、当時の舞台写真などを用いての戯曲分析は大変新鮮で、受講者がそれぞれの役の「超目的」(=その役が芝居全体を通じて何をやろうとしているか)を発表し、語り合い、その流れを受けた講義の展開や台詞の音読にはライブ感があり、リモートでも十分楽しめたというご意見もいただきました。
「ト書きは作家の意思を表し、タイトルは作家の決意表明」という鹿目講師は、「暮す」に主眼を置いた演出経験を交え、井上ひさし氏の名著を分析されました。

報告:桝形浩人
(演劇大学in四国2022 実行委員会)

講座【B】「セリフ術講座」(対面+オンラインおよびパブリックビューイングでの見学)
開催日: 11/11(金)基礎編①、12(土)基礎編②、実践編、13(日)成果発表
講師:土田英生

基礎編1日目4名、2日目14名、実践編15名、のべ33名、演劇経験者を中心に幅広い年齢層のご参加があり、大変密度の濃い、楽しく有意義な講座となりました。

参加者は役者・演出・劇団主宰など、普段から地域の演劇に関わり、支え、この先へ進めていく人たちであり、その交流や貴重な学ぶ機会の場となりました。

「充実した講座だった」「今後に活かします」など、講座終了後の参加者からの感想も大変好評で、「次回はさらに発展させ掘り下げた講座を」など積極的な意見も多く届いています。 地域にはその地域の演劇環境がありますが、この講座で得た確かな実感や経験が、それぞれの活躍する居場所で、その地域・そこで演劇に関わる人たちに還元され、その地の特性を活かしながら「地域の演劇」がさらに多彩で豊かになることへの、燃料や追い風となることを願ってやみません。

報告:玉井江吏香
(演劇大学in四国2022 実行委員会)

講座【C】長期演出家育成講座(成果発表・オンライン視聴)
日時:11月20日(日)16:30~17:30
講師:扇田拓也 育成対象者:伊豆野 眸(劇団UZ)

扇田拓也講師が「フィジカルな視点」をテーマに、地元劇団の座付き作家・演出家の伊豆野眸(劇団UZ)に対し、実際に地元俳優と劇作をする過程を通じてオンライン・対面で8月から11月まで計10回の講座を実施。成果発表をインターネット配信した。

発話や所作の動機、演技に対する身体・テンションのあり方について演出家と俳優が客観的かつ具体的に共有する方法を中心に、登場人物の関係性へのアプローチ、作品全体の構成に向けた場面ごとの緩急、音響、照明などへの考え方など、演出家として劇作にいかに取り組むべきかを学び、充実した講習内容となった。 演出家と俳優が互いに敬意をもって、より高い創作を目指す稽古環境をいかに構築するかといった「わかっているつもりになっている」ものを、実体験を交えながら的確かつ丁寧に解説し、その結果、育成対象者だけでなく参加俳優からも「いままでにも増して演劇の楽しみや自発的に提案する楽しみ、創作に真摯に取り組む意味を感じた」といった反応を得るなど、演出・俳優との相互関係における意識変化がもたらす前向きな効能が見て取れた。育成対象者・参加俳優・スタッフともに、今後の地域における表現、演劇文化を前進させようという意気込みを語るなど、今回の講座をそれぞれの活動にとっての好機と捉えている。

報告:伊豆野眸
(演劇大学in四国2022 実行委員会)

講座【D】「長期演出講座」(成果発表・オンライン視聴)
日時:11月20日(日)18:00~19:30
講師:西川信廣・平塚直隆

2名の演出家、西川信廣講師と平塚直隆講師が岸田國士の『ぶらんこ』をテキストに、異なる視点からの演出講座を展開。演出の基本的な部分から、発想のネタまで、幅広く奥深い内容だった。オンラインで7月から11月まで計12回の講座を実施。成果発表をインターネット配信した。

育成対象者は戯曲のリーディングから解釈を議論し、それぞれの演出プランをまとめ、プレゼン形式で成果発表を行った。全く異なる視点での4つの演出プランが立ち上がり、次はこの4つの演出プランを実際に上演するのを観てみたいと、講師からも好評を得た。長期にわたり演出と向き合うことで、それぞれの演出家にとって多くの学びとなった。この経験は今後のそれぞれの活動の糧になると実感した。 今後の課題としては、この学びをどのような形で地域に還元していくのか? もっと先を見据えた活動を考え行動していく事で、演劇をもっと身近なものにしていきたい。

報告:岡田敬弘
(演劇大学in四国2022 実行委員会)


▣ 演出家・俳優養成セミナー2022 演劇大学in四国


2022年度年間事業 一覧へ

一覧に戻る