日本の戯曲研修セミナーin 東京2020報告

【報告✎】《オンライン版》 三島由紀夫を読む! 『鹿鳴館』

 日本の戯曲研修セミナーin東京2020は、当初は三島由紀夫『鹿鳴館』と井上ひさし『日本人のへそ』を同時期に扱う企画を準備していた。だが新型コロナウイルスの感染拡大が2020年夏ごろにも予想されることから、ともにオンライン型に切り替え、初のオンライン企画ということもありそれぞれ時期をずらしての開催となった。また三島由紀夫『鹿鳴館』のセミナーは三島由紀夫の「文体の発話」を追及するために、演出担当・宮田慶子氏を中心とした稽古とリーディングを予定していたため、大幅な企画変更が行われ、戯曲読解をメインとしたオンラインの参加型ワークショップとなり、宮田慶子氏にはナビゲーターという役割で読解セミナーの中心的役割を担ってもらった。
 セミナーの進行は基本的には『鹿鳴館』を一幕ずつ読解していくという形で進行した。ナビゲーターの宮田氏による「チェックポイント(気になるところ)」を参加者で確認した後、グループに分かれてディスカッション(グループ内に実行委員が必ず一人付き、司会を担当)、最後に、グループごとのディスカッションを全体で共有した。宮田氏による適切かつ総合的な「チェックポイント」を共有することで、全体のディスカッションがスムーズかつ多角的に進行でき、非常に実りのあるセミナーとなった。また、オンライン参加ということで参加者の地域性や演劇歴などがいままで以上に多彩であり、それがディスカッションの活気へとつながった。グループごとの司会を担当した実行委員たちの議論の促しも重要であった。これまでの戯曲セミナーを通じて「戯曲を読む」という行為への共通理解が実行委員のあいだに醸成されていたことが確認できたと言える。

セミナーの内容については試験運用中のブログにて報告しているのでご興味ある方は一読いただければと思う。

オンラインでの戯曲読解セミナーは参加者の地域性を問わずに開催できるためさまざまに可能性があるだろう。
戯曲研修部としては新型コロナウイルスの影響にかかわらず、これを機にオンラインでの研修セミナーを開催する実行委員会の立ち上げを検討している。

報告者:川口典成
(日本の戯曲研修セミナーin東京 実行委員長)


日本の戯曲研修セミナーin東京2020《オンライン版》三島由紀夫を読む!『鹿鳴館』


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