第10回「伝統と現代研究会」 「伝統演劇を知る7」 ~「景清伝説」をモチーフとする演劇の数々~参加者募集のお知らせ

伝統演劇には、現代の演劇を展開していく上で、豊かな題材、演劇的知、身体技法が秘められていて、まさに宝の山と言えます。
この研究会では、伝統と現代というテーマを考える足掛かりをもとめて、これまで「伝統演劇を知る」と題し、「道成寺」、「俊徳丸伝説」、「安宅」、「隅田川」、「俊寛」、「源氏物語」などをモチーフとする多様な演劇に的を絞り、伝統演劇の中に息づく創造力や身体技法の知恵を探ってきました。その好評だった成果を踏まえ、第10回ではさらに展開して、「景清伝説」を題材とした数々の優れた演劇に注目し、光を当てます。
研究会では、実際の貴重な上演映像や音源を視聴しながら、参加者で自由に相互の比較やディスカッションを行います。もちろん今回からの新たな参加も可能です。普段あまり伝統演劇に出会うことのない方も、それぞれの特色、魅力、面白さを知るまたとない機会ですので、どうぞ奮ってご参加ください。
日 程 2025年12月22日㊊14:00~
会 場 アトリエそら(東上線 中板橋駅 南口5分)

参加費 500円(資料代など)
定 員 15名ほど(オーバーした場合は会場変更して対応)
参加申し込み方法 メールにて受付
norishigekawaguchi@gmail.com
「景清物」の系譜 担当 岡本章
悪七兵衛景清は、『平家物語』では重要な人物ではないが、中世、近世の芸能では大きな展開を遂げ、能、幸若舞、古浄瑠璃、人形浄瑠璃、歌舞伎などに多様な作品を生んでいる。
能『景清』 担当 岡本章
四番目物。鎌倉に住む景清の娘人丸が景清が流されている日向宮崎を訪ねる。親子の再会と別離を通して親子の恩愛が描かれ、それに落魄した景清の嘆きと平家の侍としての矜持を盛り込んだ作品。娘の所望で、昔屋島の合戦で、敵方と兜の錣を引き合った武勇談を語る。
幸若舞『景清』 担当 川口典成
幸若舞は中世芸能の一種。語り物で簡単な動きを伴う芸で、室町中期に越前に興ったが、やがて京都に進出して頭角を現す。『景清』では、源頼朝に一矢を報いようとする景清の行動に的が絞られている。
人形浄瑠璃『出世景清』 歌舞伎『景清』 担当 篠本賢一
『出世景清』は近松門左衛門作。時代物。近松が竹本義太夫のために書き下ろした初作。能『大仏供養』、幸若舞『景清』、古浄瑠璃『かげきよ』を換骨奪胎した重要な作品。歌舞伎の『景清』は、歌舞伎十八番の一つで、景清が牢を破るという荒事芸を見せる。
古典落語『景清』 担当 渡会りえ
古典落語にも「景清」を題材とした作品があり、上方落語の笑福亭吾竹が落語にする。元は景清の目を視覚障碍者の男からもらうという小咄だった。後に江戸落語に持ち込まれ人情噺の要素が加えられる。
オペラ『エディプス王』 担当 角直之
ソポクレスのギリシャ悲劇『オイディプス王』は、「景清」から連想されることが多いが、両者を比較することで、その特色を考える。ストラヴィンスキーとエネスクの『エディプス王』を取り上げる。
「伝統と現代研究部」実行委員
今井尋也 岡本章 川口典成 篠本賢一 角直之 流山児祥 渡会りえ
