# 協会誌「 D 」
第3号 特別対談「劇場のある国へ」

劇作家、演出家、役者のほかに東京芸術劇場の芸術監督、
多摩美術大学の教授という役割を持っている野田秀樹。
この日本を代表する演劇人は、進む先に何を観ているのだろうか。
演出家・篠﨑光正との対談から、演劇の未来を探っていく。
劇場のある国へ
特別 対談対談 野田秀樹×篠﨑光正
野田秀樹氏は、23歳のころに篠﨑光正氏から演出を受けている( 野田秀樹作『 少年狩り 』の舞台 )。「 犬だって、子供のころ鼻を噛まれるとずっと恭順するっていうでしょ。篠﨑さんには子犬気分なの( 笑 )( 野田 ) 」。野田氏がロンドンに留学した際も、篠﨑氏に叩き込まれたルコック・システムのつながりで仲間を増やすことができたという。そのような縁もあって、両氏の間には、30年経ってもゆるい「 師弟関係 」のような空気が漂う。そんな二人が日本の演劇を俯瞰する

野田■
夢の遊眠社のときって、千秋楽で公演がハネても次の次くらいの日には場所に集まって公演とはぜんぜん関係なく、なんか稽古してたんです。「 演じるってなにかね 」って。それが劇団だと思うんです。千秋楽で終わる。次の稽古の初日に集まる。これは劇団じゃなくて実はプロデュースシステムなんです。日本の演劇が抱えている問題として、伸び盛りの劇団を除いては、劇団というものに不信感がある。「 いいのかね、これで 」って。で、劇場っていうのは動かずそこに必ずある。それが不便なこともあるけど、劇場ってところでなにかを共通で始めることは、もしかしたら可能かもしれない。芸術監督制というのは早くから導入されているけど、いまひとつ機能していない気がするんです。なにかやりようがあるんじゃないかと思って軽はずみに始めたんだけど、…大変だわ( 笑 )。
篠﨑■
我々はそれを期待しているわけよ。いままでの芸術監督とはなんか違うんだろうって。でも、野田芝居からはなんか「 演出作業ってのはいらない 」ってメッセージを、もらっちゃうんだよね。
野田■
すごい暴言なんですけど、自分を叱咤激励する言葉に「 演出家って仕事は近代が作ったせいぜい100年くらいもので、元々無ぇよな 」ってのがあるんです。ただ、演出家はものすごく必要だと思うんですよね。いまの『 ザ・ダイバー 』だって四人芝居で。毎日始まる前にひとシーンだけやるんだけど、良かったか悪かったか言うヤツが誰もいないの(笑)。そこでね、舞台側にいるオレがしたり顔で演出家の言葉で言っても信じないだろうからね。でも同時に思うのは、歌舞伎が始まったとき、シェイクスピアがやってたときっていうのは演出家がいなくて、彼らの中で一番しゃべる自信ありげな役者が、みんなに「 ああしろ、こうしろ 」って言ったに違いないって思うんです。
篠﨑■
そういうところに根ざしているから、僕はすごく興味があるんだよね。演出家なんか、はっきり言えば、いなくてもいいと思うし。舞台に演出家の美学が投影されていなくても、作者的な世界がそこにあれば、それはそれで演劇として充分ではないか、と篠﨑氏は言う。
野田■
演出家が近年なぜ出てきたかって、美学とい う 言 い 方 も あ る け ど、 む し ろ、 今 の は よ か ったのか悪かったのか批評をする言葉が欲しいわけじゃないですか。
野田■
演出家が近年なぜ出てきたかって、美学という言い方 も あ る け ど、 む し ろ、 今 の は よ か ったのか悪かったのか批評をする言葉が欲しいわけじゃないですか。
篠﨑■
演出家が事前に「 初日の観客の目である 」って批評するのはズルいんだよ。つまりね、あとで観客が批評をすることなの。終わった後でズバズバズバっと槍が突き刺さると。これが役者というか演劇の姿なんだよね。血みどろでいいんだ。
野田■
ほら、いちおう演出者協会のアレだから。いいんですか、そんな自爆行為( 笑 )。あと、若い人の悪口になるかも知れないけど。「 静かな演劇 」って言葉が出たあたりからちょっとヤバイかなって思ってたんだけど、「 そういうジャンルのものだから 」っていう。さっきの話じゃないけど、血みどろでしょ? 「 うわーつまんねー 」って言われなきゃいけないのに、そこを最初から言わせない、言われないように仕掛けてあること自体がいけないと思うね。

世界の中の日本語
篠﨑■
昔から、演劇が世界に出て行くときにいちばんアキレス腱になってたのが、言葉でしょ。言葉に対して「 なんとかバージョン 」って、いまいろんな方法を取っているけど、その最終目標は?
野田■
最終目標はないんだけどね( 笑 )。結論が分かってたらやる意味がないんですよ。「 日本語で表現することがこんなに楽なのか 」ってことは、日本語だけでやっていると絶対に気が付かないことなんです。やはり表現というのは、染み付いた言語で、そこの人間たちとするのが、楽。お客さんも、ロンドンとこっちと両方観ると、やっぱり日本語版がイイわってなる。つまり言葉というのは、ただ書いてるものでも、ただ聞くものでもない。ぜんぶ合わさって言葉で、それが骨身に染みて感じられるってことですよね。特に今度の『 ザ・ダイバー 』に関していうと、源氏物語の古い日本語をところどころ使っているんで、古い言葉と新しい言葉を、日本人だけが耳でわかるわけじゃないですか。いまこうやって日本語を使っているこの 文 化 を、 身 体 で こ う や っ て 語 れ る の は、 も う我々しかいないんですよね。非常に恐ろしいのは、150年前の、明治時代の小説を、もはや若い人はかなり読めなくなっている。彼らに教育すればいつか読めるようになるとかいう幻想はあるけど、そういうことはもう二度と起こらないと思う。古い日本語は消えていく。そういうことも、僕はイギリスの連中とやって初めて、あらためて、気づいた。今までだったら頭の中だけで考えてたことが、肉となって血となって、文化ってのはそういうことだってことがすごくわかったんですよね。おそらく、そういう確認作業なんだと思うんですよね。日本人の役者が英語で表現できることが僕の目標じゃないしね。
篠﨑■
最終目標はわかんないって言うけど、なんか、見えてんじゃない?
野田■
いや、それは無いですね。昔から「 なるようになる 」っていう…。でも、こうしてやってると、最終目標かどうかわかんないですけど、小さいとこでずっとやるのがいいのかなって思ったりするんですよね。
演出家の仕事とはなにか
目標だったわけではないが、イギリスに留学して、いまは大学教授や芸術監督をやっている。いろいろな偶然の出会いが重なっていまの状況がある。役者をすることも演出をすることも、出会いの偶然ではないだろうか。
野田■
いい役者に出会うと、演出家も広がりますよね。演出家としての言葉を持てるようになるというか。説明しなきゃいけないから。若い世代で面白い役者さんっていうのは「 オフビート 」ってい う か。 わ ざ と「 ・、・・・ っ て い う 間 を 取る。我々の世代は、間を置くとき以外はすぐに言う。だけど、いま、の、や、くしゃさん、ていうの、は、こういうふうにしゃべる。それがはじめて見たときすごく面白くて。新鮮であると同時に、全員がそうだと、すごくノッキングしたお芝居になるんですよね。そういう役者さんが出てきて初めて、こっちがそれを説明する言葉を探すわけですよね。それを全部やっちゃダメって説得するためには、演出家って言葉を持たなければいけないじゃない。説明能力だよね。演出家って説明しなければいけないんだなって思ったのも、劇団を辞めてからですね。ロンドンに行って、イギリスでは英語という事もあるけど、自分が考えていることを、なるべくシンプルにして、解説しなくちゃいけなくて。日本語で演出しているように「 な? 」「 だろ? 」みたいなことがあり得なくなったから( 笑 )。演出というのは、言葉で説明しなくちゃいけない。そう思うようになった。僕の記憶ではシノさんは昔から明瞭な言葉で演出してた。僕がいまだに演出で使っている言葉には、シノさんに教わった言葉もある。演出家の言葉を持っていない演出家ってのも、日本には多いんですよね。言葉でちゃんと説明できない演出家は、存在していいのかっていう( 笑 )。そういう話になってきますよね。
篠﨑■
日本ってこれまでは、演出家ってどっちかっていうと、感情を乗せてしゃべらないとみんな動かないと思ってた部分があるから。(大きい声で)「ナントカなんだ! そうだろー!?」って。ロンドン行っちゃうと、そんなことやってなんになるんだって、みんなキョトンとしちゃう。説明して初めて納得っていうね。国民性の違いだって思うけど、納得したあとの彼らの動きはすごくいいよね。
野田■
日本の演出家って、どっちかっていうと「 座長 」から出てきてるから、「 さあ行くぞ! 」って感じがあるのかもしれないですね。
篠﨑■
でもさ、( 野田さんは )ちょっと座長的な感じなんじゃないの?
野田■
どうだろう。20代のときは「 座長 」ですよね。演出家って意識はなかったと思う。とくに、20代30代の前半くらいは、うまくいかないと思ったら台本を書き直してましたからね( 一同笑 )。演出家じゃないよね。演出家はそれをどうするかなのに。「 書き直しちゃお、アイツの台詞減らしちゃお 」みたいな。そういうことしてたんですね。だから、演出は30代の後半から40代に楽しくなりましたね。楽しいのも問題で。自分は楽しかったけど、お客さんが楽しかったかは知らない( 笑 )。
再び劇場という場所をつくる
篠﨑■
日本のいまの状況では劇団制が崩壊していってる面もあって、それなりにまとまっていかない。演出者協会なんか見ても、年寄りの人たちと若い演出家って、やってる芝居が違うから、なかなか交流しないんだよね。それは協会だけじゃなくて、演劇界全体で言える。しかも、いまその半分はミュージカルの世界になっちゃってて。すごく多極化しているのが現実だね。

野田■
どうすかね。劇場に足を運ぶ労力っていうのは、いまの世の中の流れと逆行していますよね。家にいて、電話一本で食える。情報も仕入れることができる。少なくとも擬似恋愛はできるし。そういう状況になると、狭い劇場に何時からって時間まで決め付けられちゃって、しかも「 ここに座りなさい 」って席を指定されて( 笑 )。これは自分の信念に近いと思うんだけど、演劇は滅びないっていうか。過剰に技術に頼ってる文化とかは、隆盛しても、次の技術に取って代わられるって思うんだけど。演劇の「 見る 」「 見られる 」っていう、その関係は大昔から、ミュージカルだろうがなんだろうが、変わらないじゃないですか。この形態の文化とか芸術である演劇って、その意味では絶対に滅びないって、僕は思うんですよね。でも、絶対に滅びないってところに胡坐をかかないで。見る人がいて、見せる人がいてって空間は、絶対に面白いんです。それに気づかない、あるいはぜんぜん経験してない人って、山ほどいるわけだよ。そういう人たちに、面白いですよって見せることができる場所を。あそこに行けばまたそれに出会えるっていう場所を。もう一回作らなければいけないって気がすごくします。
野田秀樹■
劇作家・演出家・役者。劇団夢の遊眠社解散後、ロンドン留学を経て、93年NODA・MAP設立。国内外を問わず、精力的な活動を展開。今夏より東京芸術劇場芸術監督に就任。作・演出・出演を務めた『ザ・ダイバー』が就任記念プログラムとして上演された。
篠﨑光正■
日本演出者協会理事。劇団青年座を経て電劇・シノザキスタジオ代表。主な演出作品に『 ミュージカル アニー 』『 ある馬の物語 』『 ブンナよ、木からおりてこい 』など。近年オリジナルミュージカル創作や動物を主題にした作品創作を展開。演技研究にも意欲的に取り組んでいる。
演出家養成セミナー2009報告
演劇大学 in えひめ
演劇大学エンゲキで遊ぶ!!( 報告 = 鈴木美恵子 )
2009年7月8~11、17~20日
愛媛県民文化会館( ひめぎんホール )
リハーサル室及び会議室
講師
流山児祥・小林七緒・村井健
池内美奈子・鐘下辰男・鴻上尚史
和田喜夫
担当
和田喜夫、鈴木美恵子
演劇大学を愛媛で実施することは、私たちのNPO法人シアターネットワークえひめの念願の一つでした。ひょんなことから実施できることになり、地元の文化NPOに呼びかけ実行委員会を組み、ワーキンググループのサポート委員会に演劇関係者にも加わってもらい準備に入りました。とにかく広く呼びかけるため四国4県と瀬戸内に面する広島・山口・福岡・大分にもチラシを送付しました。結果、160人の申込があり、その内70人近い人が、県市外からの参加で、延べ人数で言えば、500人近い老若男女が、「 演劇を大学 」したのです。演劇経験者やそれを目指す人の学びの場になればというスタートでしたが、未経験者が60人近くいらしたのもオドロキです。将来、有力な谷町や見巧者になってくださるでしょう。おまけに新たなシニア劇団まで誕生しそうな様子です。松山では、演劇の専門家に触れる機会が少なく、大方の地域劇団は、先輩の指導や独自のやり方で演劇活動をしています。高校演劇の対外交流禁止という長い間の特殊な演劇環境を経てきた愛媛の人たちに、「 大学 」と銘うった演劇講座がすんなり受け入れて貰えるだろうかと不安でした。
しかし、私たちにとって、演劇界の第一線で活躍し、演劇を生きることの中心に据えている人たちに出会い触れることは幸せなことでした。「 セカンドライフのための演劇コース 」「 俳優・演出コース 」「 演劇教養コース 」と、非常に欲張った11プログラムでしたが、講師の方々も快く引き受けて下さいました。それぞれの講座はとても好評で、人間の在るべき姿を探るという知的好奇心を刺激され、熱に浮かされたような二週間でした。そしてアボリジニのオーストラリア、またソウルやモスクワの演劇に、自分たちの芝居が繋がっていくこなど、私たちは改めて地域演劇の在り様を識ったのです。何かが変わるのかもしれません。「 演劇大学2009 in えひめ 」を持てた事を感謝します。

演劇キャンプ in 中津川
おいでん地歌舞伎の里中津川( 報告 = 木村繁 演劇CAMPin中津川実行委員長 )
2009年919~22日
会場:中津川三座( 蛭子座、常盤座、明治座 )ほか
講師
中村津多七、流山児祥
小林七緒、佃典彦、鹿目由紀
木村繁、宮田慶子、柄本明
ラサール石井、北村想ふじたあさや、菊本健郎
はせひろいち、北村想
担当
和田喜夫、木村繁( 実行委員長 )、竹内菊( 名誉実行委員長 )、齋藤敏明( 事務局長 )、ほりみ
演劇CAMP in 中津川は従来の演劇大学と新事業の日本近代戯曲リーディング、さらにイべント公演を結びつけた企画でプレ演劇祭ともいえる内容でした。延べ970名( 招待含む )が会場を訪れました。参加地域は宮城、東京、埼玉、神奈川、長野、新潟、愛知、岐阜、三重、京都、滋賀、奈良、大阪、兵庫、愛媛、福岡、沖縄の17都道府県でした。新聞テレビラジオ報道も16回ありました。歌舞伎小屋での地歌舞伎ワークショップ『 白浪五人男 』では受講生と地元の役者が競演、副市長も出演しました。日本劇作家協会の5人の劇作家が俳優・演出家養成セミナー( 講師 = 流山児祥 他 )に5本の短編を書き下ろしたのも特筆すべきこと。柄本明、ラサール石井の講座は一般市民にも新鮮でした。宮田慶子の演出家養成講座には北村想も参加し賑やかでした。キッズと作る野外劇『 白雪姫 』は自然林の中で子どもたちが手製の衣裳で演じました。シンポジウム「 地歌舞伎の里中津川 」は伝統文化と町づくりが話し合われ、「 女性演出家集合! 」は10人の女性演劇人の中に大ベテラン竹内菊が飛び入りし粋な演出でした。近代戯曲リーディング『蓬莱曲』は文献でしか知らない透谷の劇詩世界に誘い込まれ、中津川市在住の俳優が演じた『和泉屋染物店』は地域で活躍する演劇人の力を感じ、『 生きてゐる小平次 』では歌舞伎小屋の空間を生かしきった演出を楽しみました。イベントは毎夜開催され、地歌舞伎小屋とwitty look の組み合わせの妙、地元のフォーク土着民の骨太さ、『 四畳半襖の下張り 』には木曾から外波山文明の応援団が大挙来場し、『 狐の嫁入り 』は伝統をふまえた斬新な演出が目を奪いました。ハプニング開催の討論会では地歌舞伎師匠中村津多七と演出家たちの対話がはずみ、伝統と現代の共同作業が始まる予感を感じさせました。演劇CAMPin中津川は来年9月第2回を予定しています。( 敬称略 )

際演劇交流セミナー2009報告
韓国特集
現代劇の中に生きる
韓国伝統芸能の世界3( 報告 = 和田喜夫・青柳敦子 )
2009年7月1~2日(東京/芸能花伝舎)7月4~5日 (熊本/日本キリスト教団 武蔵ヶ丘教会)
講師
ソン・ジンチェク、キム・ソンニョ
通訳
洪明花( ホン・ミョンファ )
担当
和田喜夫 青柳敦子
参加者
東京47人 ( 男13人 ・ 女34人 )
熊本36人( 男19人 ・ 女17人 )
東京での韓国特集は、直前に「 日韓演劇フェスティバル 」で上演されたソン・ジンチェク氏演出、キム・ソンニョさん出演の一人歌芝居『 壁の中の妖精 』が好評だったことを受けて、大きな反響を呼びました。定員20名に対して、50名以上の申し込みがあり、急遽より広い教室への変更、定員の拡大、見学参加の設定など、忙しく対応しながら、改めて質の高い作品の持つ「力」と「影響力」を痛感しました。また、当初東京では参加予定のなかったキム・ソンニョさんが急遽参加してくださったことも、うれしいハプニングでした。ワークショップでは、講師のお二人が打ち鳴らす韓国の伝統楽器、チャンゴとブックのリズムを全身に受け、伝統のリズムと動きを汗だくになって体験しました。また、韓国でのパフォーマンスの様子が映像資料で紹介され、こうした伝統の技が、現代演劇の表現にどのように応用されるかをレクチャーしていただきました。日本と韓国の民族的なリズム感の違いや、感情表現の方向の違いなど、とても興味深い解説もあり、大変充実した内容となりました。熊本での初めての国際演劇交流セミナーは、昨年の演劇大学において立ち上げられた企画でした。アジアとの交流を重視したいという多くの意見が地元の実行委員からあり、第1回は特に韓国を希望ということで、伝統芸能の要素を現代劇に取り入れられているソン・ジンチェク氏とキム・ソンニョさんのワークショップが実現しました。会場は演劇の稽古などにも開放されている武蔵ヶ丘教会の礼拝堂で、参加者はのべ40名以上。ワークショップ、レクチャーの内容は東京とほぼ同じですが、日本と韓国の芸の歴史的共通部分に関して大きく話されました。熊本には在日の方が多く、見学を含め多くの方が参加され、最終日の交流会では即興を交えたアリランの歌の合唱で楽しい時が生まれました。新たな交流の一歩となったようです。最後にソン・ジンチェク氏が話された「 人間は自分の人生を歩むだけでも大変です。しかし、演劇人はもっと沢山の人の人生を考え、感じなくてはならない。だから祝福される仕事をしていると思います。 」という言葉に感銘と今後の課題を受け取ったように思います。
国際演劇交流セミナー2009報告
ドイツ特集
ベルリンの2つの視線 ( 報告 = 笹井友仁 )
2009年7月11 ~ 18日( 大阪 / 精華小劇場、スタジオ315 )7月16 ~ 21日 ( 東京 / ゲーテ・インスティトゥート、芸能花伝舎 )
講師
エンリコ・シュトルツェンブルク ( Enrico Stolzenburg )
フォルカー・ルートヴィヒ ( Volker Ludwig )
通訳
小長井高恵( 大阪 )、Rita Briel( 東京 )、瀧澤華蓮( 東京 )
浦野志保( 東京 )
担当
堀江ひろゆき、笠井友仁( 大阪 )、 森井睦、中野志朗( 東京 )
参加者
( 大阪 )WS18人( 男8女10 )、レクチャー103人、シンポジウム15人 ( 東京 )WS21人( 男9女12 )レクチャー56人、シンポジウム42人
2009年7月11日から21日まで、国際交流セミナー2009ドイツ特集『 ベルリン 2つの視線 』が大阪と東京で開催された。講師としてベルリンから、「 子どものための劇場 」を掲げるグリプス劇場のフォルカー・ルートヴィヒ氏とドイツ国内外の現代戯曲を手がける演出家エンリコ・シュトルツェンブルク氏の2名を招き、ワークショップやレクチャー、シンポジウムを行った。なかでもエンリコ・シュトルツェンブルク氏のワークショップは、ブレヒトの『 例外と原則 』をテクストとして用いて「 教育劇 」の理論を紹介する、極めて実践的なものだった。参加者は20代、30代の若い俳優が多く、その参加理由を尋ねると、「 教育劇 」がどのようなものか知りたかったという言葉が多く聞かれた。彼らの多くは「 教育劇」という言葉をよく耳にするものの、実体を知らないためにこのワークショップに参加したとのことだった。ワークショップの冒頭でシュトルツェンブルク氏が「教育劇とは、観客がいない演劇であり、全員が俳優なのです。 」と語ると、参加者からは「 それでも演劇? 客がいないのになぜ演じるの? 」という質問が出た。するとシュトルツェンブルク氏は、「 ブレヒトはなぜ教育劇を作ったか? 」、また「教育劇がどのように役立つのか? 」
など、丁寧に時間をかけて説明した。その後、テクストを使った稽古へ移ると、参加者たちは少しずつ「教育劇」の理論を理解していった。
またフォルカー・ルートヴィヒ氏のレクチャーでは、代表作のミュージカル『地下鉄1号線』がリーディングと映像で紹介され、その後、ルートヴィヒ氏が自らの上演作品と劇場について語った。ルートヴィヒ氏は現在のドイツで検閲がないことに触れ、「現在の演劇は検閲する必要が無いということかも知れない。」と、政治的な意識が低くなった現代演劇に対して、演劇の発言力が弱まっているのではないかという危惧を口にした。レクチャーの参加者もやはり演劇活動を行っている方が多く、ルートヴィヒ氏の話に皆、高い関心を寄せていた。

国際演劇交流セミナー2009報告
ベルギー特集
ベルギーからの風、演技における刺激的身体論 ( 報告 = 森井陸)
2009年9月1 ~ 5日( 大阪 / 芸能花伝舎 )
講師
ジョルジュ・イヴァノヴ( 演出 )
マーク・ゴーリス( 俳優・演出・劇作 )
通訳
倉多七与・藤井慎太郎
担当
森井睦・佐々木治己
参加者
ワークショップ21人( 男21・女14 )
レクチャー38人( 男13・女25 )
エクササイズとして主な目的は心のリラックスを目指していた。身体の様々な部分を意識し、集中し、解放しながら、歩き、止まり、目を閉じながら移動し、止まり、を繰り返す。そして、何を感じたか、空間をどう意識できたか、できなかったのかの検証をおこなう。また彼らの俳優の身体に関しての考え方は、俳優の身体は、話しているセリフの内容より、身体の表現のありよう、見え方の方が観客により多くのイメージを与えることができるし、言葉と同時に別の、様々なイメージを与えることができると考えている。その為に、身体と感情の関係を洗いなおし、確認する様々な訓練がなされた。たとえば握手をする。その様々な仕方によって握手をする人の人生が見えてくる。歩き、あるポイントに来ると立ち止まり、違う人格になってまた歩く。それを繰り返す。また、歩きながら、吐く息だけで怒りの感情を表したり、哀しみの感情を表す。コミニュケーションの問題としては、二人一組になり一本の棒を持つ。その棒を右手から相手の右手に、左手から左手にバトンのように投げる。二人の間の距離を短くしたり、長くしたり、二人が同時に移動しながら投げたりと様々に変化して投げられる。様々なエクササイズを
全て紹介することはできないが、スタニスラフスキーシステムを基本としながら現代の俳優訓練として変化させながら、心のうちだけで演技をするのだけではなく、それを身体の或る形として表すことにより、より豊かな表現になるのではないかということを追求していたように感じられる。レクチャーとしては「ヨーロッパにおけるベルギー演劇の位置」ということでおこなわれた。まずブリュッセルで活躍する彼らの集団「大熊座カンパニー」について語られた。俳優、演出家、音楽家、劇作家、詩人、イラストレーターなど様々なアーティストが集まっている非常にユニークな集団で、一人が企画を立てると、それに賛同する人たちが立ち上げるといことを基本にしているようだ。また、フランス 語、ドイツ語、オランダ語が行き交う特殊な国である。政府も議会もそれぞれにあるこの国の形で演劇、文化を創り出していくと言うことは大変な葛藤があるように思えた。

在外研修報告 中野志朗
2007年9月からの一年間、私は文化庁在外研修員としてドイツ・ベルリンに滞在しました。学生時代より、ハイナー・ミュラーを中心に現代ベルリン演劇に興味を抱き続け、また今後の自分の演出家としての指針を探る必要性から、1年間かの地で演劇を研修することを決意しました。滞在が始まり、ようやく言葉に慣れ、生活のリズムをつかみ始めた頃から、観劇の合間をぬって様々な種類のワークショップに参加し始めました。エチュードの方法論を学ぶ一方で、そこで得た講師とのつながりは、今後の共同作業につながり得る大切なものとなりました。現在、この企画は具体化に向けて、さらに練り上げている最中です。また毎年5月に開催されるベルリン演劇祭の中で行われるインターナショナル・フォーラムという大型のワークショップに参加できたことは、1年間のベルリン滞在の中で一番充実した経験となりました。毎年、このワークショップでは、まず全体の大テーマが決められ、そのテーマに基づいて、ドイツ語圏の演劇界の第一線で活躍している演劇人が数名、講師として招かれます。各講師は各々のチームのワークショップの具体的な内容を決定して指導にあたります。2008年度は「 演劇における集団性 」が全体の大テーマに決められ、「 カオス・ファクトリー 」と名付けられた私の参加したグループでは、さまざまな身体のためのエチュードをとおして、俳優と演出家のための共同作業の方法の探求が目指されました。ドイツ語圏を代表する俳優の一人、ブルーノ・カトマス氏が私たちのグループを指導しました。
シェイクスピアの「 マクベス 」がテキストに用いられ、講師の選んだ場面を、台詞を使わずに“本質部分”だけを取り出して演じてみるというエチュードが繰り返し行われました。また世界各国から集まった参加者が、身体の解放のためにそれぞれ準備してきたエチュードを紹介し合い、お互いに試してみる時間も作られました。お互いの芝居を見合い、またお互いのエチュードを交換し試し合う中で、参加者の間に深い信頼関係が生まれました。ワークショップ終了後も、滞在中はベルリン在住の参加者たちとは頻繁に会い、一緒に芝居を観に行ったり、演劇論を闘わせたりしました。今後もつき合ってゆくであろう “ 芝居仲間 ” をベルリンの地に持つことができたことも、1年間のベルリン滞在の大きな収穫のひとつです。
第一回
日韓演劇フェスティバル報告( 報告 = 篠本賢一、磯村純 )

90年代初頭より、韓国の演劇人との交流を継続してきた日本演出者協会ですが、日韓演劇交流の新たな歴史を刻むこととなる「 第一回日韓演劇フェスティバル 」は、2009年6月1日から30日までの一ヶ月間、東池袋の「 あうるすぽっと 」に於いて、日本演出者協会と韓国演劇演出家協会の二つの組織が中心となり、演劇を通じて日本と韓国との文化交流を目指し、五人の演出家がそれぞれ相手国の戯曲を演出し上演するという画期的な企画となりました。この企画は、その準備段階において、日本、韓国の二国間の文化交流に留まらず、在日韓国朝鮮人の文化もそこに絡めて、まさに三つ巴の文化交流を実現しようとの広がりが生まれました。このフェスティバルの大きな意義は、そのように過去を見据えつつも、未来に向かって、多方面に対話を求めていったことにあったと考えられます。劇場での演劇公演の他にも、ドラマ・リーディング、伝統舞踊や楽器演奏、シンポジウムなど、劇場ロビーでのイベントや、絵画・文学の展示など、過去に例を見ない盛り沢山のフェスティバルとなって、会場は連日大いに賑わい、延べ七千人を越える観客を動員しました。
劇場公演
劇場公演は、坂手洋二作、木村典子翻訳、キム・カンボ演出による『 ブラインド・タッチ』で幕を開け、続いて、ユン・ジョンファン作、津川泉翻訳、森井睦演出による『ちゃんぽん』、福田善之原作、ペ・サムシク脚色、ソン・ジンチェク演出による『 壁の中の妖精 』、イ・ガンペク作、秋山順子翻訳、福田善之演出『 七山里 』と続き、最後は、チョ・ガンファ作、木村典子翻訳、鐘下辰男演出『 狂ったキッス~接触への熱望 』で幕を閉じました。他国の作家との共同作業は、演出家にとって想像力をかきたてるものであり、五人の演出家の舞台は、それぞれに個性的なもので、現代演劇における演出家の果たす役割の大きさを認識することにもなりました。また、演劇創造の過程が、隣国への理解の扉を開くこととなる一方、そこにはいまだに解決のつかない問題もあるということも、浮び上がってきました。私たちは、本当に隣人のことを知っているのか、そして、私たち自身についてもどれほどの認識を持っているのか。そういった問題は、今後の課題となっていくことでしょう。
ドラマ・リーディング
ドラマ・リーディングは日本新劇俳優協会などの諸団体協力のもと、演出家・俳優を公募し、韓国現代戯曲集( 日韓演劇交流センター刊 )などの中から作品を選定し、ロビーにて、各作品二回ずつ上演されました。キム・グァンリム作、石川樹里翻訳、家田淳演出『 愛を探して 』を皮切りに、ユン・デソン作、津川泉翻訳、梅田宏演出『 離婚の条件 』、キム・ミョンファ作、石川樹里翻訳、左藤慶演出『 鳥たちは横断歩道を渡らない 』、そして、チャン・ジン作、青木謙介翻訳、中野志朗演出『 無駄骨 』が上演されました。なかでも豊島区の高校生が出演した、イ・ガンペク作、津川泉翻訳、宮田慶子演出『 野原にて 』は、演劇の専門家でない一般市民の参加した作品で、このフェスティバルを社会に開かれたものにした意味がありました。この劇場のロビーは、本来、演劇の上演にはあまり適していない場所で、声の反響、照明備の不足、舞台公演との時間調整の難しさなど、さまざまな問題がありましたが、そういった制約を、演出者たちのアイデアと関係スタッフらの努力によって乗り越え、そこがまさに劇場空間として機能していったことは、このフェスティバルを成功させる一因となったことと思います。

その他の企画
演劇公演のほかに、このフェスティバルでは、さまざまなイベントが用意されました。フェスティバル初日は、前夜祭として、ミン・ヨンチ&SANTAの演奏、民俗工房の高定淳さんの朝鮮舞踊の独舞、はなこりあのよさこいアリランが披露され、一ヶ月間続くフェスティバルの開催に花を添えました。
7日は、終日「 ワンコリアフェスティバルDAY」と銘打って、南北コリアの統一を目指す市民グループと在日韓国朝鮮人のパフォーマーたちのお祭りがあり、演劇上演とは違う熱気を吹き込んでくれました。ロビーでは、仮設舞台が作られ、ドラマ・リーディングのほかに、一人芝居、伝統舞踊、ミニコンサート、朗読、シンポジウムなどが連日行われ、劇場ロビーが、「 マダン 」( 開かれた庭 )となりました。ロビーの壁には、韓国文化院から提供された韓国の文化を紹介したポスター、さらに通路には、画家・荒井虹子さんのユン・ドンジュ( 戦時中日本で獄死 )の詩をテーマにした絵画がフェスティバル期間中、展示されました。受付周辺には、韓国現代劇のポスター、チラシが展示され、劇場入口付近には、物販コーナーも用意され、入手困難な韓国演劇の関連書籍が並び、来場者の関心を集めました。最終日には、「 チャンソリ 」というフリートークが行われ、日本、韓国、そして、在日というさまざまな視点の交錯した、今回のフェスティバルに相応しい活発な発言が飛び交い、一ヶ月間に及んだフェスティバルを総括しつつ、未来の日韓演劇交流の可能性が模索されました。



劇場公演5作品
『 ブラインド・タッチ 』4( 木 )~6( 土 )
『 ちゃんぽん 』10( 水 )~ 13
『 壁の中の妖精 』16( 火 )~18( 土 )( 木 )
『 七山里 』21( 日 )~23( 火 )
『 狂ったキッス ~ 接触への熱望 ~ 』26( 金 )~29( 月 )
ドラマ・リーディング
『 愛を探して 』3( 水 )・9( 火 )
『 離婚の条件 』6( 土 )・14( 日 )
『 鳥たちは横断歩道を渡らない 』
『 無駄骨 』21( 日 )・28( 日 )
『 野原にて 』6( 土 )・8( 月 )20( 土 )・23( 火 )
その他の企画
『 鈴木一功一人芝居 友情・ある半チョッパリとの45年 』14( 日 )
『 ミン・ヨンチ&SANTA LIVE 』1( 月 )・7( 日 )
『 高定淳 朝鮮舞踊独舞 』1( 月 )
『 はなこりあ よさこいアリラン 』6( 土 )・7( 日 )・20( 土 )
『 朴保バンド LIVE 』7( 日 )・30( 金 )
『 夫歌寛 LIVE 』7( 日 )・12( 金 )・27( 土 )

『 あどぅん&高田 LIVE 』7( 日 )・13( 土 )
『 金真須美 朗読 』9( 火 )
『 witty look 大道芸 』12( 金 )・23( 火 )
『 民俗工房ユニット LIVE 』13( 土 )・21( 日 )
『 詩人・尹東柱を記念する立教の会 詩の朗読 』13( 土 )
『 ソリペ 韓国伝統楽器演奏 』14( 日 )
『 ぱくきょんみ 詩の朗読 』15( 月 )
『 韓戯( HANI) 韓国舞踊 』28(日)
『 荒井虹子絵画展 』1( 月 )〜 30( 火 )
シンポジウム
『 詩人キム・ソウォルをめぐり 』15( 月 )
『 日韓の照明事情の違い 』17( 水 )
『 チャンソリ ~ これからの日韓 』30( 火 )


理事会報告 大西一郎
◉ 7月26日(日)の総会後に、次の日程で理事会を開催し報告・審議を行いました。
▽8月10日( 月 )於:協会事務所 / 出席理事9名・委任5名
▽8月21日( 金 )於:協会事務所 / 出席理事12名・委任8名
▽8月22日( 土 )於:協会事務所 / 出席理事15名・委任4名
8月10日、21日に関しては、16ページの〈 総会・理事選挙開催 新理事会発足 〉の報告通りの、新役員の確定が主な審議内容でした。また、各部の担当理事も審議され、決定いたしました。21日、22日には新たな役員会のために今年度の事業経過報告〈 演劇大学、若手演出家コンクール、国際演劇交流セミナー、日本の近代戯曲研修セミナー、出版編集事業 〉を行い、また今後の活動方針を話し合いました。
◉ 平成22年度の事業を検討するための理事会を、2日に分けて10月6日(火)、10月9日(金)に、評議員、監事も参加して実施しました。
▽ 10月6日( 火 )於:協会事務所 / 出席理事 7名・委任14名
▽ 10月9日( 金 )於:協会事務所 / 出席理事8名評議員2名 監事1名・委任13名議題①平成21年度事業結果・経過報告を行いました。
▽ 第1回日韓演劇フェスティバル記録集を出すことが前理事会で決まり、その経過報告がありました。会計中間報告があり、文化庁からの助成金が出た段階でこの議題で緊急理事会開催をすることを決定しました。
▽ 若手演出家コンクール2009第2次審査対象の16名のうち、5名の審査が既に終わったこと、また2010年3月の最終審査会に並行する事業として、 前年度最優秀賞受賞者公演の準備期間中( 3月8日、9日 )にコンクール会場の下北沢「 劇 」小劇場で《 近代戯曲リーディング公演 》を実施することになりました。
▽ 国際演劇交流セミナー2009
カナダ特集についての進捗状況報告がありました。
▽ 演劇大学[ 演出家養成セミナー ]2009年
9月に開催した岐阜・中津川での報告があり、続いて11月の愛知、2010年の1月の熊本、3月の京都、下関の進捗報告を各部の担当理事が行いました。京都、下関は初めての開催なので現地の実行委員会と内容をさらに検討中です。
▽ 日本の近代戯曲研修セミナー
今年度は東京で2回、東海で1回、関西で1回開催する予定となっていますが、中津川でまず東海での開催が実施されました。東京では2010年1月9日、3月8日・9日の開催が決まりました。関西は2月の予定です。議題 ② 平成22年度事業の提案、検討を行いました。予定事業は次の通りです。
▽ 演劇大学
① 愛媛7月16日~19日、
② 福岡8月、
③ 中津川9月17日~20日、
④ 旭川10月、
⑤ 横浜10月、
⑥ 盛岡2011年2月、
⑦ 愛知2011年2月、
⑧ 広島2011年3月、⑨高知( 検討中 )
▽ 国際演劇交流セミナー ①ジェイソン・マガノーイ( カナダ )5月、
②グルポフ(ベルギー)6月、
③イ・ユンテク( 韓国 )9月、
④ヘイヌ・ヌカリ( フィンランド )9月、
⑤ヤン・ジョンウン( 韓国 )9月、
⑥ペトル・ブトカレウ( モルドバ )10月
⑦( ドイツ )検討中
▽ 若手演出家コンクール
▽日本の近代戯曲研修セミナー( 東京2回・他地 域2回開催 )
▽ 出版・「 演出家の仕事 ― 海を渡った演出家たち ② 」
▽ 出版・「 演出家の仕事 ― 日本のミュージカル 」
▽ 出版・「 年鑑 国際演劇交流セミナー2009」
《 新役員会の抱負 》和田喜夫
今年の役員改選後の理事会で、引き続き理事長の仕事をお預かりすることとなりました。この2年間に着手したことをさらに推進したいという気持ちが強くありましたので、喜んで引き受けさせて頂きました。今回の改選選挙では、ご報告の通り前2年の理事への投票が多くありました。会員の皆様のご期待と受け取り、ほぼ前回と同じ理事、監事、評議員、事務局員体制となりましたことをご報告いたします。
協会の発展のために最大限の活動する役員会であらねばと考えていますが、協会をこれからどのように発展させてゆくか、その具体化に関しては、協会員全員による対話が最も重要だと思っています。政権が代わり、さまざまな議論が交わされています。協会としても〈 文化とは何か 〉〈 演劇とは何か 〉を社会に発言し、議論してゆく必要を痛感しています。この2年間に推進したことは、〈 演劇大学 〉や〈 国際演劇交流セミナー 〉をさらに多くの場所で開催し、また〈 若手演出家コンクール 〉の情報を拡大することで、各地の演劇人と直接出会い、抱えている問題の解決策を共に探ることでした。多くの演劇人が抱えている問題は、小劇場や稽古場が殆ど無いこと、偏見を持たれていることでした。自分たちの場所を持てないという問題は、日本全体の問題ともなっています。多くの公共劇場や公園や広場が有っても、それが地域の人間の交流のための場所には成り得ていないような気がします。今後の最大の課題の一つだと思います。「 私達の劇場は集会所です。 」9月に開催した〈 演劇CAMPin中津川 〉で地元の歌舞伎保存会の方がこう言われました。確かに、自分たちで劇場を造り、そこで公演をしたり、弁当を食べたり、会話を楽しんだり、議論をしたりという素晴らしい稀有な場所でした。今年の『 第1回 日韓演劇フェスティバル 』の開催時に、劇作家のユン・ジョンファン氏がアフタートークで「 人間は誰もが心に傷を持っています。だから演劇が必要なのです。 」と見事に語ってくれました。演劇への偏見に対しても、丁寧に発信してゆきたいと思っています。
若手演出家コンクール 2009 1次審査結果発表
今年度は96名と多くの応募者があり、各作品のDVDまたはビデオを3名以上の審査員が7月・8月に観て、8月29日の審査会により16名を選出。
※〈 第一次審査員 〉は左記の12名。青井陽治、今泉おさむ、瓜生正美、貝山武久、菊川徳之助、佐野崇匡棚瀬美幸、西沢栄治、篠﨑光正、土橋淳志、森井睦、流山児祥
1 次審査通過者・作品名
小田学( 東京 ) 劇団兄貴の子供 『 流れ星だ。 』
角田ルミ( 東京 ) 角角ストロガのフ 『 人間園 』
鹿目由紀( 愛知 ) 劇団あおきりみかん『 パレード旋風が巻き起こる時 』
川口俊和( 東京 ) 劇団音速かたつむり 『 ナースコール 』
斉藤麻衣子( 北海道 ) エビバイバイ 『 金子のものもらい 』
塩塚晃平( 東京 ) 桜丘社中 『 スナフキャン 』
城谷歩( 北海道 ) 劇団深想逢嘘 『 ハウンデンベルグ公爵の企て 』
すがの公( 北海道 ) 劇団 SK グループ 『 使わなければダメになる 』
錫村聡( 千葉 ) 手作り工房錫村 『 フェチっ子 』
高橋直人( 東京 ) 地球割 project 『 アネクネメの雨 』
中野敦之( 神奈川 ) 劇団唐ゼミ 『 ガラスの少尉 』 作・監修=唐十郎
成島秀和( 東京 ) こゆび侍 『 エスカルゴ 』
長谷川達也( 東京 ) DAZZLE 『 花ト囮 』 作 = 飯塚浩一郎
松居大悟( 東京 ) ゴジゲン 『 チェリーボーイ・ゴッドガール 』
御笠ノ忠次( 東京 ) SPACENOID 『 Goodwill 』
モリタユウイチ( 埼玉 ) OTOZAK 『 OTOZAK 000 』
コンクール概要
■ 第1次審査
96名の応募者に対し、ビデオ・書類審査を実施。
▼
■ 第2次審査(2009年9月1日~11月30日)
第1次審査で選出された16名の演出家による上記期間に行われる公演(または公演に準ずる形での通し稽古)を、審査員2名以上が観劇し、審査。
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■ 最終審査(2010年3月2日~7日)
最終選出された4名が、下北沢「劇」小劇場にて一般公開で競演。1時間の作品を、2時間の仕込み・1時間のバラシ時間で上演。最終選考と公開審査が行われる。〈最優秀賞〉賞金50万円。さらに日本演出者協会協力の記念公演を実施。
日本演出者協会( J.D.A ) ロゴ募集
日本演出者協会( J.D.A )では、このたびロゴを広く公募することといたしました。多くの方々からご応募をいただき、採用されたロゴを永く協会の発展とともに使用していきたいと考えております。採用されたロゴについては、協会の各種刊行物、ウェブサイト上などで使用する予定です。なお、ロゴ作成者の氏名は協会誌「D」上にロゴとともに発表し、ウェブサイト上でも紹介します。
2009年度 上半期 協会事業
5月1日( 金 )協会誌『 D 』第2号発行若手演出者コンクール募集開始
6月1日( 月 )〜30日( 火 )日韓演劇フェスティバル
7月1日( 水 )、2日( 木 )韓国特集 in 東京
4日( 日 )、5日( 月 )韓国特集 in 熊本
8日( 水 )〜11日(日)演劇大学 in えひめ ( 第1ステージ )
11日( 日 )〜16日(木)ドイツ特集 in 大阪
17日( 金 )〜21日(火)ドイツ特集 in 東京
17日( 金 )〜20日(火・祝)演劇大学 in えひめ( 第2ステージ )
21日( 火 )関西ブロック総会
26日(日)定例総会
9月1日( 火 )〜5日( 土 )ベルギー特集
19日( 土 )〜 22日( 火・祝 )演劇CAMP in 中津川
1. 募集内容
日本演出者協会( J.D.A )のロゴ 英語表記の大文字、小文字の利用は自由です。色指定は可能ですが、モノクロ加工や縮小加工への対応も想定してください。お一人様3点までとさせていただきます。
2. 応募資格
協会員であるか否かは問いません。また、プロ( フリーランス )、アマ、個人、団体による応募のいずれも歓迎します。
3. 募集締切
2009年12月31日( 必着 )
4. 謝礼 薄謝
5. 審査
日本演出者協会理事会が審査します。
6. 応募方法
日本演出者協会事務局まで郵送してください。その際、ご氏名、連絡先等の情報をご記入の上、これも同送してください。送付先 〒160 ― 0023 東京都新宿区西新宿6 ―12 ― 30芸能花伝舎3F 日本演出者協会事務局ロゴ係
7. 注意事項
未発表作品に限ります。採用されたロゴの著作権、使用権など一切の権利は日本演出者協会に属します。必要な修正を依頼する場合があり、この依頼に従うことを正式な採用の条件とします。採用作品が他の著作物の著作権等を侵害する恐れのある場合は、採用を取り消し謝礼は返還していただきます。
アンケート 演出者の仕事
1.「 私の一冊 」を挙げてください。
2.演出をするときに実際に演ってみせることはありますか?
計43名( 内無記名1名 )のご回答をいただきました。ご本人の意向に沿うべく、なるべくご記入いただいたままに掲載してあります設問に「自由に回答」とあったので、「 私の一冊 」には、本当に多彩な回答をいただき、どれも読んでみたくなりました。設問2では、「 あります 」の回答が多く見受けられましたが、ほとんどが条件付で、やはり「 ない 」と回答された方同様、演じるのはその役の俳優であるという基本をみなさん踏まえていて、改めて演出家は裏方なのだと感じました。
青井陽治㊚
① 絞れません。
② あります。なるべくたまに。
磯村純 ㊚
① 石田衣良『 池袋ウェストゲートパーク 』三浦和良『 伝説の言葉 蹴音 』平田オリザ『 演技と演出 』一冊じゃなくてゴメンナサイ。
② 演りません。イメージの共有が出来るまで話し合います。
今井良春 ㊚
①A・カミュ『ペスト』
② 無
今泉おさむ ㊚
①『 演出入門 』( 創元社・舞台文庫8 )
ルース・クライン(内村直也訳)
若い時に読み、演出の基本、舞台の分けかたなど非常に参考になった。
どの分野でも、基本のデッサンは必要。
そこからの発展は個の感覚。
② ほとんどやらない。若い俳優だと、真似になってしまう。
うちやまきよつぐ㊚
①『 戯曲の読み方 』( デヴィッド・ボール著 常田景子訳 )未だに戯曲をカンで読んでいるプロ俳優志望者の何と多い事か。戯曲を論理で読み解く為の必携の書。
② ラブシーンだけは演ってみせます。( 冗談です。 )ほとんどありません。あまりにもイメージとかけはなれている時にサンプルとして演じることはあります。
内山鶉 ㊚
① 木下順二『 〝 劇的 〟とは 』( 岩波新書 )
② めったにないが、せりふの言いまわしのみ、ごくたまにある。
鵜山仁 ㊚
① 今は『 ヘンリー六世 』Shakespeare ですかね
② あります。
大杉良 ㊚
①『 きらめく星座ー昭和オデオン堂物語 』井上ひさし著
今秋、芸団協主催でワークショップを開催していただいた時の題材で、今はこの作品で頭がいっぱいです。
② 残念ながら、あります。でも、その狙いを伝える語彙力が上がるにつれて減ってきている気がします。
大西一郎 ㊚
①『 スローターハウス5 』カート・ヴォネガット
②あります。言って伝わりづらい場合は。間と音と動きですね。
小川功治朗 ㊚
① 夏目漱石『 坊っちゃん 』
② あります。でも、これは一つの例であるということを強く言います。
貝山武久 ㊚
① 大事にしているのは、公演記念に著者から贈られた、画集『越後瞽女日記』(斉藤真一著)
② 当然のことながら人(俳優 )によって対応は異なる。その方が明らかに効果があると思われる場合にのみ実際に演ってみせる。
香川良成 ㊚
① 『 日本文学史序説 』上・下( 加藤周一著 )日本の文化( 芸術・文学・社会 )に関わる歴史が広い視野から論じられており、様々な問題提起を含んでいる。
②演じてみせることはないが、腹の問題を具体的に演じ、また、台詞の言い方( 発声・発音 )を具体的に指導することはある。
金子康雄 ㊚
① ダニエル・キース 短編集
② なるべく演じることのないようにしている。自分よりも若いものに演技をおしつけたくない。
神澤和明 ㊚
① 戯曲以外ということでしたら、千田是也著『 近代俳優術 』。特に下巻。私にとって一番の教科書です。
② 若い人たちやアマチュアを演出する時に、演ってみせることがあります。良いとは思いませんが。歌やダンスがある時、朗誦する台詞がある時も指導します。
菊川徳之助 ㊚
① 木下順二『 日本が日本であるためには 』戯曲論・演劇論を知るベースをつくってくれた。
② あります。自分で俳優もやるので。役者が表現に困った時、言葉では通じないとき。
黒川逸朗 ㊚
①しいて挙げるならば、桂小太郎作『 桜の樹の下で 』中々の感動作です。
② なるべくことばで説明するようにしていますが、役者がどうしても理解できない時は、断片的でも演ってみせます。
小林拓生 ㊚
① 常に変化しています。
② 私も俳優をやってますので、演ってみせることもあります。
昆明男 ㊚
①『 傘 』
② たまにあります。
塩見哲 ㊚
① 石川淳『 狂風記 』
② あります。
篠﨑光正 ㊚
① トルストイ作「 ホルストメール~ある馬の物語~ 」短編小説ながら、単に人間を描くのではなく、馬という動物を詳細に描写することで人間をデフォルメするトルストイの世界を読んで衝撃を受け、自分の演出作品に多大な影響を受けました。
② 表現に身体言語としての身体表現を使うことが多いので、共通理解を得るまで話し合いをするだけではなく、実際に身体言語を知ってもらうために、自分がやって見せることがあります。
篠本賢一 ㊚
① ピーター・ブルック『 何もない空間 』( 昌文社 )、野口三千三『 原初生命体としての人間』( 三笠書房 )は20代の頃、よく読みました。最近ハマったのは、秋庭俊『 新説・東京地下要塞〜隠された巨大地下ネットワークの真実〜 』( 講談社 )です。アレ、一冊ではないですね。
② 特に古典的な作品に取り組む時には、台詞を実際に言います。但し、「あまりうまくできませんが」と前置きして。
杉山健 ㊚
① 別にこれと云って有りませんが強いてあげるなら夏目漱石の全集でしょうか?
② 有りません。アドヴァイスはしますが、芝居は役者が創るものでしょう。
園山土筆 ㊛
①『 セロ弾きのゴーシュ 』。NPO法人あしぶえで18年間に国内外で134回上演しており、内容も深まっている。今後はユニバーサルバージョンを創り言葉と文化の壁を超えたもの、また、ろうあ者にも理解できるものをつくる予定です。
② 以前はありましたが、この10年くらいはありません。
高取英 ㊚
① 自分の本のことですか。『 聖ミカエラ学園漂流記 』( 群雄社出版而立書房 )他者の本なら、「 寺山修司の戯曲 」全7巻( 思潮社 )
② セリフを少し。動きはほんの少し。殺陣は少し。いずれも少しです。
立川雄三 ㊚
① ドストエフスキー『 カラマーゾフの兄弟 』
② 大いにある。
田辺晴通 ㊚
① なし
② 作品的・演技力的( 特に初心者 )にないとは言わない。
中野菜保子 ㊛
① 戯曲では特にナシ小説なら『 こころ 』
② あります。「 例 」としてであって「 正解 」としてではなく。
中村哮夫 ㊚
① 花伝書( 来年のわらび座公演『 観阿弥伝 』の準備の為に目下の「 私の一冊 」はこれです。
② 殆どない。
西田了 ㊚
① とくにありませんが「 深層心理学( 例、フロイト、ユング、南博等 ) 」などに関わる著書を興味をもって読みます。
② 演出上の立場から、役の表現について、創造上のヒントになると思われるポイントを演じてみせることもあります。
畑野稔 ㊚
① ジーン・ベネディティ著 高山図南雄・高橋英子訳『 演技 創造の実際 スタニスラフスキーと俳優 』参考にすることが多いので……
② 演ってみせることはほとんど無い。助手によく専門劇団の俳優経験者が付くのでどうしても必要な場合は彼女に演らせる場合もある。
原田一樹 ㊚
①戯曲では、サルトル『 悪魔と神 』評論 別役実『 言葉への戦術 』
② あります。口で説明するより、演技の方向意味を説明しやすい場合。
平尾麻衣子 ㊛
① 世阿弥『 風姿花伝 』舞踊の研究過程で読んでいましたが、演出の道に進む際も大変参考になりました。
② あります。良くない方法だと感じる事もありますが、舞踊の世界が長いのでではなく「言葉での表現」にウェイトを置くことだと考えています
深津篤史 ㊚
① 内田百閒『 サラサーテの盤 』劇団をはじめるにあたり、きっかけと13なった一冊です。
② ずいぶん昔はありましたが、今はやりません。
福田逸 ㊚
①『 谷間の歌 』( アソル・フガード作 )自分の翻訳ですが、普遍的テーマが、現代のどこの国の人にも訴えるものがあると思っています。
② あります。読みも、動きも下手なりにイメージを伝えるために。
福正大輔 ㊚
① 文庫版『 ウける技術 』TVプロデューサと放送作家の共著。技術としての笑いは表現者としても生活者としても大いに力になる。
②あります。ほぼ毎日。一瞬( 3秒~5秒 )なら、どんな役者にも負けません。
松本晴美 ㊛
①〈 MOMO-TARO ‐アドベンチャー 〉
② 様々な感情によって、行動と心、表情と声が違う事を様々な角度から追求し合う。おしつけるのでなく、感じ自分から発してゆけるように考えてもらい導く。
三谷麻里子 ㊛
①『 演技のインターレッスン 』 ジュディ・ウェストン フィルムアート社巻末に、ダメ出しに使うと有効な[ アクション動詞 ]の表があるのですが驚くほど有効でした。
② 小ネタの提案以外はないです。どちらかといえばやってはいけないと思っている方。
宮永あやみ ㊛
①『 フローリアとおじさん 』工藤ノリコ音楽好きのおじさんの元で暮らし始めた孤児のフローリアが、月を見上げて「 お月さまも音楽が好きかしら? 」と聞くシーンがステキな絵本。こんな気持ち、失いたくないなぁ……って思います。
② 実際にやってばっかりです。あ、でもそのもの……というわけではなく、ヒントとなる動きを。
三輪えり花 ㊛
①『 クラシカル・アクティング 』マルコル・ム・モリソン著 而立書房
② あります
森井睦 ㊚
① 今、読んでいる本が常に私の一冊『 怨霊になった天皇 』
② あります。特に若い俳優さんには具体的に演じて見せることによって、より明確に、早く演出の考えているイメージを伝える事が出来る。
吉永淳一 ㊚
① 絵本『 雪ん子 』
② 絶対にありません。
流山児祥 ㊚
① 詩集を読む―寺山修司・吉本隆明演劇関連の本は基本的にはペラペラめくるだけ。新聞だ! これじゃ「 一冊 」じゃねぇか?
② 時々「 演ってみせる 」が、これはあくまでも「 私 」の想うニンゲンだ、ということは必ず言うことにしている。
無記名
① “ Le corps poetique ”( 邦題『 詩を生む身体 』 )ジャック・ルコック“ The Shifting Point ” ( 邦題『 殻を破る 』 )ピーター・ブルック“ Stanislavsking Directs ”( 国内未刊 )
② あります。ただし、場合によりけり。
部会だより
事業部
日韓演劇フェスティバルと演劇CAMPin中津川の2本の大きな事業がありました。どちらも初の試みでしたが、皆様のおかげで無事成功いたしました。いくつかの課題は残しつつも、協会事業としてこんな事もやれるんだという一歩は踏み出せました。継続し、さらに発展させるために何が必要かを、ただいま検討中です。9年目となる若手演出家コンクールは今年は96本の応募があり、16人が第二次審査に残りました。これから11月末にかけて、二次審査会、3月の最終審査と続いていきます。演劇大学は、今年度は7回の開催予定です。初の四国開催である松山ではシニアコース参加者がその後も連絡を取り合い、シニア劇団を作る方向で話が進んでいるようです。札幌は、長期間にわたっての演劇大学という新しい形でただいま開催中です。これから3月にかけて愛知、下関、熊本、京都と続きます。できる限り色々な地域の方と面白い場を作れたら、と思っております。 ( 小林七緒 )
国際部
今年度国際部の事業としては6月の一ヶ月間、池袋の「 あうるすぽっと 」で開催された「 第一回日韓演劇フェスティバル 」に始まりました。「 国際演劇交流セミナー 」としては、「 現代劇の中に生きる韓国伝統芸能の世界」として、ソン・ジンチェクさんとキム・ソンニョさんを招き、7月1日と2日、東京で。7月4日と5日、熊本でおこなわれた。次に「ベルリン2つの視線」としてのドイツ特集が、エンリコ・シュトルツェンブルク氏のワークショップを7月12日、14日まで大阪で、16日~18日まで東京で、レクチャーは11日大阪、18日東京で、フォルカー・ルートヴィヒ氏の『地下鉄1号線』のリーディングとレクチャーを7月17日、18日大阪、20と21日、東京でおこなわれた。9月には「 ベルギーからの風、演技における刺激的身体論 」のべルギー特集がブリュッセルの「 大熊座カンパニー 」のマーク・ゴーリス、ジョルジ・イヴァノヴの両氏によるワークショップとレクチャーが9月1日~5日の間東京でおこなわれました。( 森井睦 )
教育出版部
今秋、ようやく『 演出家の仕事 ③ 八〇年代・小劇場演劇の展開 』の完成版を出版することができました。80年代には多くの劇団が活動を始め、その全てを記録として網羅したいと考えて企画しましたが、まだ気持ちを整理して書くことができない等さまざまなお返事を頂き、今回の内容となりました。目を通して頂けると幸いです。2009年度の事業としては、『 演出家の仕事 ④ 海を渡った演出家たち 』、『 年鑑 国際演劇交流セミナー2008 』の編集を現在推進しています。『 演出家の仕事 ④ 』は、明治期より始まり膨大な内容となりますので今回は、第二次世界大戦後の訪中新劇団の記部会だより著作隣接権として扱われます。演出家と録までとし、それ以降を2巻目に纏める同等に著作隣接権を持っている実演家は、予定です。 ( ふじたあさや )
広報部
⑤ ミュージシャン( 演奏家 )、⑥ 指揮者、日と教育出版部日本演出者協会の活動状況は、活況を呈している。事業数増加だけではなく、全国各地に展開する演劇大学などの育成事業の成功、さらに新たな事業もつぎつぎ起案されている。今回は日韓演劇フェスティバルという大事業も挙行され、広報資料も増大の一途である。一方多額な公的助成金を受ける団体となった今、財務についてもガラス張りの運営にしなければならない。( 年2回発行のうち1冊には財務関係資料を順次掲載予定 )広報部では協会誌創刊により新会員増加傾向となり、好評の新入会員紹介ページなど工夫を重ねていきたい。そのほかホームページの見直し、メールマガジンの発行、観劇案内のデジタル化など具体化を急いでいる。また全国に会員が居住する遠距離交流の実態や、高齢と若年齢の会員交流、種類や傾向の相違による会員交流の推進の為、広報部一同決意を新たにしたい。広報部参加希望者!
メールを左記へ!kohobu@shinozaki.ecnet.jp( 篠﨑光正 )
法務部
演出家の権利のひとつに著作隣接権があります。この権利は著作権が対象としている著作物に密接に関連している権利で、財産権と人格権を含むものです。つまり、著作物の利用者に発生する権利が作隣接権として扱われます。演出家と同等に著作隣接権を持っている実演家は、
① 俳優・声優・パントマイマー、
②人形
③ 舞踏家、
④ 歌手、
⑤ミュージシャン( 演奏家 )、
⑥ 指揮者、
⑦ 落語家・漫談家、漫才師、声帯模写師、
⑧ 詩吟の朗詠家、
⑨ マジシャン・曲芸師・その他、です。法務部では、会員と共に、この著作隣接権の理解を深めてゆきたいと思っています。法務部は、初めての担当ですので、法律に関する問題が生じた場合は、関係団体と連絡をとり迅速に対応したいと考えています。 ( 西川信廣 )
地域交流部
初の地域交流部長である。思い起こせば、私の演出者協会入会は1990年、在外研修が目的だった。93年野田秀樹と共にロンドン留学、アングラ中年の「 世界演劇 」に向けての再出発であった。で、お礼奉公で95年から14年間、副理事長を務めている。この20年、協会は様々な事業を展開、公共性を維持し、「 会員の多くが 」企画・運営に参加し現代演劇を牽引出来る民主的な全国組織へと成長を遂げた。今後も若手演出家コンクール、演劇大学、国際演劇交流セミナーといった人材育成事業を「 地域を軸に 」積極的に展開していく。地域交流部はこれらの事業の「 根幹に位置し交流する部署 」である。わたしは演劇界の水戸黄門として会員千人!を目指して全国を回ろうと思っている。消費=蕩尽のトーキョー演劇を相対化、逆包囲するJ演劇を!《 出会い 》を求めてあなたの街に行きます! よろしく!!( 流山児祥 )
協会の事業担当
【 理事長 】和田喜夫( 【 部名 】部長 ◆ 担当理事 ◆ 部員)
【 事業部 】小林七緒 ◆ 青井陽治、鵜山仁、菊川徳之助、木村繁、坂手洋二、篠㟢光正、宮田慶子、流山児祥 ◆〈 東京 〉千葉哲也、外波山文明、林英樹、松森望宏、〈 関西 〉 井之上淳、金子順子、木嶋茂雄、田中孝弥、棚瀬美幸、椋平淳、森本景文、山口浩章、芳川雅勇〈 東海 〉鹿目由紀、菊本健郎、齊藤敏明、竹内菊、はせひろいち、トリエユウスケ〈 熊本 〉亀井純太郎、山南純平、〈 仙台 〉米澤ギュウ、〈 札幌 〉清水友陽
【 国際部 】森井睦◆青井陽治、鵜山仁、貝山武久、坂手洋二、篠本賢一、堀江ひろゆき、松本祐子 ◆〈 東京 〉青柳敦子、家田淳、小林拓生、黒川逸朗、佐々木治己、左藤慶、中野志朗、洪明花、前嶋のの、松森望宏、〈 関西 〉坂手日登美、全リンダ、田中孝弥、棚瀬美幸、土橋敦志、〈 東海 〉佐久間広一郎、ほりみか、本島勲〈 仙台 〉いとうみや
【 広報部 】篠㟢光正 ◆ 菊川徳之助、篠本賢一、森井睦、流山児祥 ◆〈 東京 〉磯村純、大杉良、小川功治朗、黒澤世莉、ゴトウモエ、長沢けい子、林未知、平尾麻衣子、三谷麻里子〈 関西 〉木嶋茂雄、田中孝弥〈 東海 〉ほりみか
【 教育出版部 】ふじたあさや ◆ 青井陽治、鴻上尚史、流山児祥 ◆〈 東京 〉佐々木治己
【 法務部 】西川信廣 ◆ 鵜山仁、小林七緒
【 地域交流部 】流山児祥 ◆ 鴻上尚史、坂手洋二、深津篤史 ◆〈 熊本 〉村上精一〈 東海 〉水野誠子、〈 仙台 〉なかじょうのぶ
【 観劇案内 】〈 東京 〉遠藤栄蔵、〈 関西 〉木嶋茂雄、〈 東海 〉金子康雄
【 日韓演劇交流センター委員 】小松杏里、松本祐子
【 監事 】中村哮夫、福田悦雄〈 関西 〉粟田倘右、今泉おさむ
【 評議員 】戌井市郎、内山鶉、瓜生正美、栗山民也、福田善之
【 事務局長 】大西一郎
【 副事務局長 】篠本賢一、斉藤由夏
【 事務局 】上田郁子〈 関西 〉木嶋茂雄〈 東海 〉金子康雄
平成21年度 総会・理事選挙開催 新理事会発足
定例総会報告
平成21年度総会が、同年7月26日( 日 )、新宿・芸能花伝舎において開催された。総会は、会員588名中34名の参加( 内委任状278名 )となり過半数を越え成立。本年は2年間に及ぶ理事職任期満了にあたり、理事選挙も併せて行われた。平成20年度の活動報告、決算報告、平成21年度の活動予定、予算案は全員の承認を得ました。投 票 は 郵 送による 事 前 投 票。14名までの名前が記載できる。投票数は192票であった。被投票者数は243名にも及び、全会員の半数近くともなる指名があったことになる。また、無効投票が2枚、白票が9枚であった。結果は左記の通り。
選挙管理委員会から
選挙開票作業にあたってくださった皆様、事務局関係者の皆々様、長時間の作業本当にお疲れ様でした。ありがとうございました。また、ご投票いただいた皆様、総会にご出席いただいた皆様にも重ねて御礼申し上げます。本年選挙では、委任状に比して投票数が少なかったりもいたします。次回選挙では投票数をあげてゆくことも協会全体の意識としてゆければと思います。
理事会報告
定例総会を受けて、平成21年8月10日( 月 )、第一回理事 会が開 催され、理事長選、推薦理事7名〈 木村繁、鴻上尚史、小林七緒、篠﨑光正、篠賢一、深津篤史、森井睦 〉の選考が行われた。同年8月21日( 金 )、選挙選任理事、推薦理事合わせて21名による理事会が開かれ、副理事長、事務局長、監事、評議員を決定。事務局に関しては、事業の増加を考慮し、新たに副事務局長2名を理事より1名、事務局より1名選任。
新役員は以下の通り。
〈 理事長 〉和田喜夫
〈 副理事長 〉宮田慶子、流山児祥
〈 理事 〉青井陽治、鵜山仁、大西一郎貝山武久、菊川徳之助、木村繁、鴻上尚史、小林七緒、坂手洋二篠﨑光正、篠本賢一、鈴木裕美西川信廣、深津篤史ふじたあさや、堀江ひろゆき松本祐子、森井睦
〈 監事 〉中村哮夫、福田悦雄
〈 評議員 〉戌井市郎、内山鶉瓜生正美、栗山民也、福田善之
〈 事務局長 〉大西一郎
〈 副事務局長 〉篠本賢一、斉藤由夏
1位 | 和田喜夫 | 120票 |
2位 | 坂手洋二 | 94票 |
3位 | ふじたあさや | 84票 |
流山児祥 | 84票 | |
5位 | 栗山民也 | 73票 |
6位 | 宮田慶子 | 72票 |
7位 | 鵜山仁 | 65票 |
8位 | 菊川徳之助 | 63票 |
9位 | 青井陽治 | 60票 |
貝山武久 | 60票 | |
11位 | 堀江ひろゆき | 52票 |
12位 | 鈴木裕美 | 45票 |
西川信廣 | 45票 | |
14位 | 大西一郎 | 40票 |
松本祐子 | 40票 | |
16位 | 篠﨑光正 | 39票 |
17位 | 小林七緒 | 28票 |
深津篤史 | 27票 | |
19位 | 木村繁 | 27票 |
20位 | 鴻上尚史 | 24票 |
21位 | 森井睦 | 23票 |
事務局長から
任期の二年間、引き続き、日本演出者協会の活性化、各事業のより一層の充実・活動に向けて、実現機動力のある理事会として邁進してゆく所存です。会員の皆様におかれましても是非各事業などに積極的にご参加いただき、共に刺激的な活動交流の場を持って行ければと思っております。どうぞよろしくお願い致します。
各地域活動通信
東海ブロック ― 新体制への期待
先日の案内でも報告した通り東海ブロックの体制がかわり、有志の参加者から、東海地区在住の会員全員の参加ということになりました。一気に人数が倍近くになり、少しでも多くの方に事業等への参加をお願い出来ればと思います。現在は名古屋市文化振興事業団との共催の演劇講座も終わり、演劇大学 in 愛知の準備と、まちんなか演劇祭の開催に追われているところです。来年からは是非もっと多くの作品で、フェスティバルをひらけることをと期待しています。【 東海ブロック事務局 / 金子康雄 】
関西ブロック ― 近況報告
2009年7月21日、谷町劇場( 劇団大阪稽古場 )にて今年度の関西ブロック総会が行われた。代表は菊川徳之助氏の留任が決定されたが、事務局長の堀江ひろゆき氏は体調面を考慮して、退任することとなった。新事務局長として木嶋茂雄が選任され、事務局次長として田中孝弥が選任された。新役員の選定は9月下旬を予定している。来年1月末に関西ブロックの企画として予定している国際演劇交流セミナー「 中国特集 」や、同じく来年3月に予定される「 演劇大学 in 京都 」、詳細な時期は未定ではあるが「 近代戯曲リーディング 」という企画もあり、年度末に向けて関西ブロックの活動も活発になりそうである。現在、関西ブロックには100名ほどが在籍されており、会員間のさらなる交流を促進する場としてどのようなブロックのあり方が良いのか考えている時期だけに、これらの企画を通じた交流機会を十分に活用していこうと思っている。昨年に引き続き、関西ブロックからの企画でドイツ特集が7月に実施された( 担当:笠井友仁氏 )。ベルリンのシャウビューネで活躍する演出家エンリコ・シュトルツェンブルク氏を招いて、ブレヒトの戯曲『 例外と原則 』をテキストにワークショップを行った。また同じくベルリンの青少年演劇のメッカとも呼ばれるグリプス劇場の芸術監督である、劇作家フォルカー・ルートヴィヒ氏を招いて、青少年演劇を上演するに至った経緯(社会背景)や現在の問題点などを語っていただいた。
【 関西ブロック事務局長 / 木嶋茂雄・事務局次長 / 田中孝弥 】
札幌 ―見た目、ちっとも変わらなくても
北海道の状況は見た目ちっとも変わっていない。相変わらず劇団の数は増えないし、相変わらず皆30歳そこそこになったらやめちまうし、相変わらず演劇人口も増えていかないどころかむしろこの平成不況で減った。演劇大学に参加してから丸3年、北海道最大都市ココ札幌ですらそうなのだから、乱暴な事を言ってしまえ ば、北海道の小都市演劇事情もたぶん見た目ちっとも変わっていないに違いない。今 年 の 演 劇 大 学 札 幌。「 今年やりたいのは、今までの演劇大学を踏まえての、各々の現場である」となった。つまり、それぞれの活動に焦点をあてた演劇大学にしたい。そして何を考え、問題にして、今、どのような作品に取り組んでいるかを知りたい。そのために過程( 稽古 )と公演をお互いに見て、ディスカッションをし、いつ くかの団体で、「 見る 」「 見られる 」の循環を起こす。無理矢理起こす。で、また来年を考える。おそらく、継続される事ではない。もちろんそれが後にどういう事になるかはわからないし、何年後かにわかるかもしれないし。…なんて気の長い話なんだろうか。
見た目、ちっともかわらない札幌だが演劇大学に参加するようになって、なんとなく札幌演劇人たちの風通しが良くなったと感じる。通過点にせよ、青井さん白玉さん横尾さん清水さんの目論みだったのかにせよ、多分、個々人が考える事が良い事になってきてる。と思いたい。気の短い自分も今回の演劇大学を「 悪くないな 」と思っている。自分も札幌も、見た目、ちっとも変わらなくても、こっからだと信じたい。【 すがの公 】
盛岡 ― 新たな公共の演劇へ
4年前、江戸時代から続く中心市街地のビルの3階に、キャパ100人の小劇場「 いわてアートサポートセンター・風のスタジオ 」がオープンした。行政からの援助はゼロで、ベテラン演劇人を中心に文化関係者など市民有志が資金を出し合った。設備投資の借財が500万円近く残っているが、何とか専従職員1名を雇用し運営を継続している。公立劇場のみに頼らない新たな「 公共の演劇 」と「 地域から生まれる表現 」の創造が目的である。来年1月から3月まで、盛岡で独自に進化している演劇人とアナウンサーによる朗読劇を中心とした「 語りの芸術祭 」が開催される。風のスタジオのほか、重要文化財になっている歴史的建造物や隣町の美術館、伝統的な盛岡町家などで合わせて十数本の作品が上演される。
会場は敢えて公立ホールを避けた。近年、林立する立派なホールが表現を独占し、演劇人は便利に活用できるホールに安易に寄りかかっている。それでは表現の可能性を狭めるばかり。再び、不自由さの中から地域の新たなヒョ王源を生み出す勇気を持つ時期が来た。
【 坂田裕一 】
仙台 ― 仙台の状況
10月下旬、作演出一人芝居『 永遠の嘘 』を仙台で上演します。窓際閑職の50代、肩書きだけの部長が社会の自殺を自死と考えていくストーリーです。行き続けていく先を、自らの身体で貫く。社会の中で生き、生きる一部の労働がある。同年代の思いを舞台に乗せていけたらと思っています。自分の状況を何の前フリもなく書いてしまいました。飛ばさずに読んでください。仙台の状況を書きます。今年2回目を迎える、杜の都の演劇祭が10月から12月にかけておこなわれます。仙台文学館開館10周年記念事業という長い冠が今年はついています。街のカフェ居酒屋ショップ等8ヵ所で朗読会が上演されます。長い冠の下に、井上ひさし氏セレクション8作品の朗読上演と副題もあります。小さくてかわいい上演会ですが、スタッフは大変です。中学校時代に演劇鑑賞会で1回だけ演劇を見たというようなオーナー店長を相手に場所の提供をお願いするところから始まるんですから。照を使うとなればアンペアからの計算です。アイデア勝負の上演会です。新しい客を開拓しない限り、演劇の明日はありません。昨年は「 東京日記 」を朗読しました。今年は宮沢賢治の詩を朗読します。仙台の初冬もいいモンですよ。ぜひおこし下さい。後、追伸ですが、岩手宮城内陸沖地震の地元で暮らしております。栗駒山への道も復旧しはじめ、地元の温泉も営業を始めました。ぜひ栗駒山にも足を運んでください。
【 なかじょうのぶ 】
金沢 ― 地域演劇からあらたな一歩を踏み出す
私が金沢で劇団活動を始めて19年。12年前には金沢市民芸術村が、市内中心部に出来たことで、金沢の演劇活動拠点はそこに移った。この12年で芸術村を通して、様々な出会いがあり、演劇人たちのレベルはかなりあがったように思う。また、アートと教育、アートと福祉というように、新たな演劇の可能性を市民に提示する機会も生まれた。それは、365 日24時間眠らないこの芸術村のおかげである。たくさんの人との絆から、障害のある人たちとの作品が生まれ、地域が変わるきっかけを作ったのだ。障害のある中学生、先生と、学校単位でワークショップすることも定期的に行われ、演劇がより身近になってきた。そして今年11月。新たな演劇ユニット旗揚げすることになった。「 金沢市民芸術劇場 ~ K―CAT」は、文学座の西川信廣さんをはじめ、役者さんが金沢に滞在し、金沢の演劇人と劇団の枠を越え、作品を創るというのだ。芸術村と関わってきた西川さんが手弁当でこのユニットの演出をする。ギャラが出ないのに、誠心誠意私たちに関わる西川さんの熱さに衝撃を受け、私も制作や演出部でお手伝いするのだが、今から楽しみでならない。来年はうちの劇団もいよいよ20周年を迎える。いまから助成金の申し込みもしなければ……。それに今年の秋には初めて岐阜県可児市で県外公演も行う。走り続ければなにか見えてくるに違いない。そんなことを考えながら、今日も私は金沢で走り続けている。
【 黒田百合 】
熊本 ― 近頃の熊本
近頃熊本では、“熊本演劇人協議会”を軸にした、地元の演劇人が集まっての合同企画が盛んです。熊本県立劇場主催の演劇祭「 リージョナルシアター 」シリーズには毎年合同公演が織り込まれており、今年2月には同劇場主催の戯曲講座における最優秀作品『 リンコのうた 』( 作 = 南紗綾 )を、演劇人協議会合同公演という形で上演しました。ちなみに演出は私が担当させて頂きました。1973年の熊本大洋デパート火災を背景に、貸本屋を営む家族の交錯する立場や思いを描いた物語です。この作品は、「 みやざき演劇祭」においても“南九州スペシャル公演”という枠で選ばれ、9月に再演しました。3月には劇団きららの池田美樹さんの呼びかけで、「ギキョクキクキカク」と題し、先述の戯曲講座から生まれた作品を、熊本在住の演出家が参加者をオーディションで選んでリーディング公演する、というイベントも開催。2日間で8作品が連続上演されました。オーディションには一般の方も多数参加され、これをきっかけに劇団の門を叩くことになった人もいるようです。来年3月にはパート2をやろうという話になっています。2月と8月には、熊本市内を走る市電を一本借りきって、走行中の車内で公演する「市電劇場」というイベントも行われました。劇団の枠を越え、様々な俳優・演出家たちが乗客を巻き込んで行われるお芝居ということで、親しみやすさもあり、大変好評でした。この企画は今後も継続的に行っていく予定です。また、劇団夢桟敷の山南さんが熱心に取り組んでおられる国際交流企画も盛り上がっていて、2月にはブラジル数都市で公演、7月には国際演劇交流セミナー「 韓国特集 」も開かれました。
【 亀井純太郎 】
新会員紹介( 09年1月 〜 6月入会 )

伊藤靖朗( いとう・やすろう )
舞台芸術集団 地下空港 主宰。
▼ 国際基督教大学教養学部社会科学科卒。同大学同窓会奨励賞受賞。日本劇作家協会会員。
▼ 代表作:『 幻のセールスマン 』『 轟きの山脈 』。
▼この度、日本演出者協会に加入させて頂きました伊藤靖朗と申します。「 劇場に旅をするような劇空間を創りたい!」と思っております。皆様どうぞ宜しくお願い申し上げます

鹿目由紀( かのめ・ゆき )
1976年、福島県会津若松市生まれ。名古屋市在住。劇団あおきりみかん主宰、劇作家、演出家。南山大学文学部国語学国文学科卒。劇団あおきりみかんの全ての作・演出を手掛ける。劇団は年2回、名古屋・東京の二都市公演を定期的に行っている。その他、他劇団の作・演出、『 中学生日記 』( NHK )等のテレビドラマ、ラジオドラマの脚本執筆など、幅広く活動。08年、日本劇作家協会東海支部プロデュースの短編芝居コンペ『 劇王Ⅴ 』で優勝。翌年『 劇王Ⅵ 』防衛。第5代・第6代劇王(現劇王)になる。08年4月、第24回名古屋文化振興賞・戯曲部門で佳作、同年10月、第8回AAF戯曲賞佳作受賞。日本劇作家協会会員。。

神谷尚吾( かみや・しょうご )
愛知県生まれ。B級遊撃隊。
▼1986年、佃典彦らとB級遊撃隊を旗揚げ。
▼1993年、『 コックと窓ふきとねこのいない時間 』( 作=佃典彦 )を初演出。
▼2001年、以降劇団の作品全てを演出。『 真・似・禁 』『 ガードマンの恋 』『 夜明けの奥地 』( 作=佃典彦 )『 ピンクの像と5人の紳士 』(作=別役実)など。
▼1992年『 インド人はブロンクスに行きたがっている 』で竹内銃一郎氏の演出を受け、三途の川を渡りかける。

倉本朋幸( くらもと・ともゆき )
オ ー ス ト ラ・マ コ ン ド ー 代表・ 演 出 家。1981 年 高知県出身。
▼ 演出家として初演出作品2010年1月7日 ~ 1月17日、第一回公演『 三月の5日間 』( 作=岡田利規 第49回岸田國士戯曲賞受賞作 )を赤坂レッドシアターにて上演決定。
▼ 初演出に対して
▼ 大失敗したいと思うし、完全否定されてもいいと思う。
▼ 今の僕たちにしか出来ないこと、今の僕たちが正直に感じていること、僕が本当に信じられることをありのまま表現して行きい。
▼ やりたいことをやりたい。
▼ 演出家として大先輩の方々に是非とも僕たちの作品を観て頂きたいです。
▼ 駄目だしでも、批判でもなんでもいいので正直な感想を聞かせて頂きたいです。
▼ 何卒末永く宜しくお願い致します。
▼ とにもかくにも演出することが楽しくて楽しくておもしろすぎてたまらないっす。

橘憲一郎( たちばな・けんいちろう )
川崎市麻生区在住。90年から08年まで劇団文化座演技部に所属。『 青春デンデケデケデケ 』『 若夏( うりずん )に還らず 』『 いろはに金米糖 』等劇団作品に出演する傍ら様々な作品に演出助手、音響オペレーターとして参加。木山事務所、劇団東演他に客演。特技・ギター、タップダンス。現在、J-Theater 所属。あさおアートスクール講師。
▼…演出の仕事はこれからです。ひとつひとつ学んでいきます。よろしくお願いいたします…
▼ 11月9日 ~ 15日劇団東演公演「 どん底 」( 本多劇場 )に出演。

千葉哲也( ちば・てつや )
俳優、 演 出 家。オフィスまとば所属。
▼ 1963 年、 神 奈 川県出身。
▼ 1987年、鐘下辰男氏の演劇企画集団「THE・ガジラ」に旗揚げより参加。その他にtpt、新国立劇場、こまつ座、シス・カンパニー、劇団新感線、流山児
★事務所など多数の舞台に俳優として参加。
▼2006年、シアタープロジェクト東京(tpt)で『 スラブボーイズ 』を初演出。( 06年度読売演劇大賞優秀演出家賞、作品賞 )
▼ 以降tptで『 ザ・ディスタンス・フロム・ヒア 〜 ここからの距離』、『 広い世界のほとりに 』( 08年度読売演劇大賞優秀演出家賞 )を演出。
▼ 今年、流山児の紹介で入会。

智春( ちはる )
ストリートアーティストや競技大 会 の 選 手 振付から、イベント企画、学校公演、ファシリテーターとしての活動などで幅広く活躍する演出・振付家。また、サーカス芸をベースにしたキャラクターとドラマ性の強いショーを武器に、自 身もパフォーマーとして国内外のフェスティバルで数々の賞を獲得。若手演出家コンクール 2008 最優秀賞、観客賞受賞。Cheeky*Park 主宰。
▼ 私は、今まで世界中の道で表現活動を行ってきました。いわゆる生粋の大道芸人です。道という日常の空間を一人のパフォーマーがショーをすることで、新たな世界が無限に広がり、全く知らない人達と国も言葉も何もかも超えてつながりあえることを体で感じてきました。この感覚を劇場でも創り出していけたら、もっとドキドキできるような気がしています。

冨永真理( とみなが・まり )
フリーです。
▼兵庫県出身。
▼11月 に な れ ば、東京に来て3年が過ぎます。
▼ 若輩者につき、今あるものは、夢と欲望のみですが代表作品と言えるようなものを、作りたいと思います。

中西和久( なかにし・かづひさ )
自分で書いた自分のひとり芝居を演出したことはこれまでにいくつかありました。主宰する劇団の公演の演出は経済的な理由からです。
▼ 僕はこれまで、俳優という仕事をしてきましたし、これからもやっていくつもりですが50代半ばをすぎてからわが国の戯曲を改めて読み直し、手探りで若手の俳優達と芝居作りをしています。
▼じつはこの秋に劇団協主催次世代を担う演劇人育成公演『 からゆきさん 』( 作 = 宮本研 )を演出しましたが若い俳優達に混じって僕もその育成対象者でした。このところ役者も演出もとても面白いと思っているのです。
▼かなり遅いデビューですが、いつまでも新人のつもりです。京楽座主宰。

中野菜保子( なかの・なおこ )
劇団上海自転車主宰。日本劇作家協会所属。役者・愛知大学同窓会安城支部理事。愛知大学在学中に劇団うりんこの創設者・故しかた・しんに出会い師事。他劇団や小学校での作・演出も手がけ文化庁芸術拠点形成事業への出演・脚本の提供・演出や、コラムやエッセイの執筆など多岐に渡り活躍。大手芸能プロダクションでも演技講師を務める。日本青少年演劇作家会議劇作講座第八回三分間ふたり芝居において、脚本『 ひとつ売って 』入選。『 憧れのマユちゃん 』新風舎コンテスト佳作受賞。代表作『 親愛なる君へ ~ 龍馬が幕末にやってきた ~ 』他。見聞を広め切磋琢磨する機会になればと考えております。よろしくお願い致します。

南雲史成( なぐも・ふみなり )
東京演劇集団風所属。日本大学芸 術 学 部 演 劇学科在学時、舞台総合実習『 火のようにさみしい姉がいて 』(作 = 清水邦夫 )、演劇学科卒業制作『 新・明暗 』( 作 = 永井愛 )で演出を担当し、同大学卒業後、東京演劇集団風に入団。マテイ・ヴィスニユック作『 フランクフルトに恋人がいるサックス奏者が語るパンダの物語 』を演出し、2008年、ウジェーヌ・イヨネスコ劇場ビエンナーレ国際演劇祭( モルドバ共和国 )、シビウ国際演劇祭( ルーマニア )の正式招待を受けて公演するとともに、アヴィニョン国際演劇祭・オフ( フランス )では20ステージの公演を行った。2009年にはビエンナーレKAZE国際演劇祭において同作品を上演する

西垣耕造( にしがき・こうぞう )
1965年生兵庫県出身 東京演劇集団風の俳優として、風の主なB・ブレヒト作品、A・チェーホフ作品に出演する。
▼ 2022年に、文化庁在外研修員として、ロサンゼルスで演出家ライル・ケスラー氏が主宰する演劇ワークショップ「 イマジネーション ・ワークショップ 」を学び帰国。その後全国の地域や教育現場に於て、自身の「コミュニケーション・ワークショップ」を展開。また障がいを持った人達とのワークショップも展開。全国各地での地域演劇の指導から、演出まで幅広く手がけている。2005年千葉市青少年ミュージカル『 星の王子さま 』を演出、2010年は東京演劇集団風の『 Touch~孤独から愛へ 』を演出する。

野崎美子( のざき・よしこ )
MOBAアカデミア所属。
▼ 舞台芸術学院、劇団青年座附属養成所卒業。1984 〜 2000年、劇団東演に在籍。
▼ 1996年、文化庁在外研修員として、ロンドン( RADA )とモスクワ(ユーゴザパト劇場)で、俳優教育と演出を学ぶ。1997年よりユーゴザパト劇場客員俳優となり、モスクワで活動。2000年、モスクワ芸術座附属演劇学校マスタークラス卒業。2006年帰国。
▼ 主な演出作品『 夏の夜の夢 』、『 千一夜物語 』、『 輪舞 』、『 リア王の娘たち 』。
▼ また、スタニスラフスキーシステムを土台にした、プロのためのクリーニング&トレーニングワークショップを定期的に行っている。
▼ 誰であれ劇場に集まって来る人々が、喜びを見出せる仕事がしたいです。

橋本匡( はしもと・ただし )
所 属 = 尼 崎 ロマ ン ポ ル ノ
▼ 1982年生。近畿大学文芸学部芸術学科演劇芸能専攻・劇作理論コース卒業後、同校の学生を中心に、劇団「 尼崎ロマンポルノ 」を旗揚げし、作・演出・出演・映像作家として参加。
▼ 神戸酒鬼薔薇事件や天皇の世継問題、熊取児童失踪など、実在の事件や事実を題材に、個人の内的心理を舞台で消化する演出、作風で、関西を中心に熊本などでも公演を行う。
▼ 代表作に『 鉄鋼スベカラク 』( 精華演劇祭参加作品 )『 落爆の少年が添える花 』( KAVCチャレンジシアター参加作品 )等がある。
▼ 今後は「内/外」をテーマにし、日本と海外の関係性や自己と社会の関係性を解き明かす作風へシフトしていく予定である。

長谷川直輝( はせがわ・なおき )
所属FREE
▼ 1985年10月20日生
▼ 出身地 / 東 京 都 血 液型 / B 身長・体重・SIZE / 171cm55㎏ 89・69・89
▼ 活動ジャンル / 俳優 演出家
▼ 主な演出歴 / 2006年『 紅 』/2007年『 ひとつ上の階段 』
▼ 14歳の時から映像の世界へ、この時から舞台演劇に興味があった。
▼ 主な演劇スタイルを日本で学びアイルランド留学中は現地の演劇コーディネーターから、アイリッシュスタイルの演出技巧を学ぶ。
▼ 近年は中学・高校・大学等でアクティングコーチとして出向く事があります。
▼ 哲学を盛り込んだ生への渇望をいつか脚本の中へと移し込む事が望み。

福正大輔( ふくしょう・だいすけ )
所属 = ドロブラ代表・演出代表作 =『 青春途上国 』『 キシクニ~岸田國士2008 ~ 』 『月の影で息継ぎを 』など。ダンスカンパニー smile、キトキト企画、ハッピー圏外など。演劇指導に武蔵野、三鷹市立の小学校、学芸大学附属小金井中学校など。
▼ 若手演出家コンクールで優秀賞をいただき、協会にいれていただきました。諸先輩方にいろいろいわれながらがんばっていきたいと思います。まだまだ何ができるのかよくわかりませんが、色んな人とのかかわり合いの中で探して行きたいと考えています。何かありましたら気軽に声をかけて下さい。よろしくお願いします。

福村まり( ふくむら・まり )
所属 = フリー
▼ 1988年北海道武蔵女子短期大学英文学科在学中、北海道大学の「 劇団アトリエ 」で役者をはじめる。コンテンポラリーダンスパフォーマンスの作品を創り、踊りの活動もする。カメラマン、衣装家、メイクアップアーチストの集団「 PPP 」をプロデュース、被写体もやり写真作品も創った。4年前からシャドーヨガをはじめ、特に古代インドから伝わる武道、舞踏、演劇のすべての動きのもとになるナタヨガを研鑚中。現在、ヨガやジャイロキネシスのインストラクターもしながら、表現について一生修行する所存です。
▼ 演出した代 表 作 品 2001 年『 Metalic Water 』 2004 年『 LostNight 7 年『 A Treasure in theDark 』。

前田有作( まえだ・ゆうさく )
劇団リタラリーギルドシアター( LGT )・ 主宰、 有 限 会 社ラック・代表取締役。
▼ 主に仙台市で活動。地方都市では一般の方が演劇に触れる機会が少なく良質の既成戯曲の上演を観る機会もほとんど無いのが現状。入りやすい演劇上演のため劇団LGTを旗揚げ、翻訳物を中心に上演。『 ラン・フォー・ユア・ワイフ 』『 リタの教育 』など。08年、飲食店を劇場化し『 父帰る 』『 驟雨 』『 食べるか喋るかどっちかにしたら 』を上演。10年間に亘る劇団の運営・上演活動を評され、平成20年度 宮城県芸術選奨演劇部門・新人賞を受賞。今年も仙台オフブロードウェイパフォーマンスと称し、飲食店で3ヶ月に亘るロングランを行う。作品は『 父帰る 』『 紙風船 』『 父と暮せば 』。

町聡子( まち・さとこ )
郡山演劇研究会「 ほのお 」所属。20代で入団、T・ウイリアムズ、イプセンやアヌイの作品に出演。
▼ 仕事と子育てのため退団。50歳から再開、演出と役者を兼ねる。コリン・ヒギンズ『 ハロルドとモード 』
▼ 小川未玲『お勝手の姫』飯島早苗・鈴木裕美『 法王庁の避妊法 』堤泰之『 見果てぬ夢 』『 煙が目にしみる 』成井豊『 広くてすてきな宇宙じゃないか 』( プラネタリウムでの星と映像とのコラボ )
▼ 演出をしてみて、これほど苦しいのにこんなに面白い役割はないと実感。当面の目標は福島県外で上演すること。どなたか受け皿かアイディアを。
▼ 舞台以外の活動としては企業PRビデオや地元テレビのナレーション。
▼ 旅番組の語りは1年半続いている。

矢内文章( やない・ぶんしょう )
劇団俳優座研究生修了。役者としてTPTや thecompany な どでR・A・アッカーマン演出作品に出演後、2008年にアトリエ・センターフォワードを結成し、作・演出・出演を担当。同年12月、旧ユーゴ紛争を題材に敵味方双方の葛藤を描いた作品『 その川に流るるは… 』を発表。2009年7月、世相が酷似しているという着想から現在と2・26事件を結びつけ、さらにはロシア革命直前にチェーホフが書いた『 桜の園 』や『 三人姉妹 』を下敷きにした作品『 一条家サロン ~ アラブルカゼニクツオトガタカナル~ 』を上演した。人物の葛藤に正面からぶつかり、厳しい状況下で懸命に生きるからこそ生まれるユーモアを大切にしたい。来年春に第3回公演を予定。
退会者・訃報( 9年4月~9月 )
【 退会者 】中沢とおる( 大分県民演劇制作協議会 )、松木麻里子( 千年枕 )
【 訃報 】竹内敏晴( フリー )
※ 09年9月逝去謹んでご冥福をお祈り申し上げます。
新しい日本演出者協会会員をご紹介ください会員のメリットをお知り合いに広げよう!
会員になると
1. 会員手帳(会員名簿)が毎年送られます。
2. 会員および関連団体の演劇公演のうち、観劇案内に掲示された公演を招待観劇することができます。
3. 観劇案内と理事会報告、協会の主催事業について掲載された「協会誌D」が送られてきます。
4. 文化庁募集海外研修(留学)「在外研修員」の応募に、協会からの推薦を受けることができます。
5. 協会主催の研修会、セミナー、会議に実行委員として企画・運営に参加できます。
お問い合わせ先
TEL03-5909-3074
FAX03-5909-3075
kohobu@shinozaki.ecnet.jp
データで見る演出者協会
問1 今までのすべての演出作品のテキストの傾向についてお答え下さい。( 42名回答 )
① 46.9% テキストは、新作戯曲である。
② 37.3% テキストは、新作戯曲ではなく既成の戯曲である。
③ 13.8% テキストは、小説や詩などを脚色・構成したものである。
④ 0.4% 身体表現が中心で、戯曲と呼べるものは使わない。
⑤ 1.4% その他
問2( 問1で1~3の回答した人 )その台本は、誰が書いたものですか。( 42名回答 )
① 62.3% 劇作家
② 29.5% 演出者自身
③ 2.3% 集団創作
④ 5.7% その他
問3( 問1で1~3の回答した人 )その台本はどのようなものですか。( 42名回答 )
① 71.1% 日本の作家の作品
② 25.4% 海外の作家の作品
③ 3.3% その他
問4( 問3で1と回答した人 )それらの作品のされた時代はいつ頃ですか。( 40名回答 )
① 32.7% 平成
② 55.5% 昭和
③ 5.7% 大正
④ 3.5% 明治
⑤ 1.1% 江戸
⑥ 1.3% その他
問5( 問3で2と回答した人 )その作家の主な活動地域はどこですか。( 30名回答 )
① アジア・オセアニア
② ヨーロッパ
③ 北米
④ 南米
⑤ アフリカ
⑥ その他
問6( 全員に )過去と比較して、取り組むテキストの傾向には変化はありますか。
① 62% 変化はない。
② 26% 変化した。
③ 12% どちらともいえない。
上演される舞台の台本の傾向をリサーチした今回のアンケート。既成台本は37・3%、半数を超える台本が新作、または新案ということになる。これは新作創作意欲の高さとみるか、既成台本への掘り下げ、執着心の薄さとみるか。更には、お客様の要望もまたしかりなのか。問2、3に至ってみると、62・3%と圧倒的に劇作家の台本が多い。
日本の劇作家が新作創造するケースが多いと窺える。他に誰が書いたかの問いに、小説家、劇団員、海外の作家との共同作業などの回答があった。問4の比率も加味して考察すると、やはり現代日本で執筆された新作の上演機会が圧倒的に多いことが分かる。
反面、問5で海外作品に目をむけたところ、予想通りヨーロッパ・北米がほとんどを占めるが、その他の地域にも僅かながらも視線が向けられていることが分かり、今後の広がりを感じる。そして、面白く感じられたのは、問6で取り組むテキストの傾向に「 変化した 」が62%と出て、やはり日本では新しい挑戦が好まれるのだと推察できたことである。
最後に、回答者の年齢層を見て一言40~60代の先生方、お忙しいとは思いますが、先輩にならってもう少しアンケートにご協力下さい。
編集後記
▼ 協会誌 「 D 」 も早や3号となり、ますます責任の重さを痛感しています。全会員に協会を理解していただく為に、そして会員以外の方々に支援していただく為に。 ( 篠﨑光正 )
▼ 「 D 」 に関ってからあっという間に半年が過ぎていきます。 ( 篠本賢一 )
▼ 「 D 」 を通じて地域の方と交流する機会が増え励まされました。これからも様々に頑張っている方々の声をお届けします! ( 長沢けい子 )
▼ 広報部にいながらずっと「 組織 」について考えています。うまく機能するにはどうすればいいんだろう。 ( 三谷麻里子 )
▼ いよいよ出産という一大イベントに挑戦します。今後も皆さんの力を借り、コツコツ活動を続けていきたいと思いますので…子連れで取材に行っても、優しく迎えてください!( 平尾麻衣子 )
▼ 昔から追い込まれないとできない子供でした。今も同じです。次回から余裕を持ってやります。たぶん……。 ( 小川功治朗 )
▼ よく一般の方々に、演出家ってどんな人?と聞かれますが、本当にいろんな人々がいるなぁと改めて思いました。 ( 大杉 良 )
▼ 今回から広報部に入りました磯村と申します。思えばS本さんに「 磯村さん、広報部に入って一緒に 「 D 」 作ろうよ」と言われたのが運命の出会い。次回からもガンバリマス。 ( 磯村 純 )
▼ 新参者な私を温かく迎えていただき本当にありがとうございます! 次はもっと皆様の力になりたいです! ( ゴトウモエ )日本演出者協会の運営は協会費で行われております。会費未納の方は、納入をよろしくお願い致します